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理香は、何かを考えるかのようにじっと私のお腹を見ている。
よし!
ここで、お姉ちゃんの自覚に目覚めさせてやろう!
「じゃ、お姉ちゃん!」
「はい!」
「今日は、ママのお料理のお手伝いをしてください!」
「お手伝い?」
「そう、ホームプレートで、ホットケーキを一緒に作りましょう」
「ホットケーキ!?」
理香の目が、キラキラと輝く。
理香は、ホットケーキが大好き。
こんなことで目がキラキラ輝く。
つくづく思う。
理香は、まだまだ子供なんだなって……
って、当たり前か。
いっぱい失敗したけれど。
理香は、自分で作ったホットケーキが美味しかったのか、満足げに食べていた。
少しパサパサしていたけれど……
ふたりで作ったホットケーキは美味しかった。
理香も満足げに食べていた。
それからさらに数ヶ月。
私のお腹は、前よりも大きくなっていた。
そろそろ産まれるかな……
私の胸は、希望でいっぱいだった。