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「ハッピーバースディ、トゥーユー」
私が、歌うと英雄さんも歌う。
「ハッピーバースディ。
ディア、理香。
ハッピバースディートゥーユー」
理香は、どうしたらいいかわからない表情で私を見る。
「ふーっとロウソクに息を吹きかけて……」
私がそう言うと、理香はロウソクに息を吹きかけた。
ロウソクの火が消える。
当然のごとく訪れる闇……
その闇を温かい声で英雄さんが優しく包み込む
「上手だぞ」
英雄さんのその一言で……
「パパー!ママ―!
怖いよー」
英雄さんは、慌てて電気をつけ。
私は、理香の体を抱きしめた。
「理香!ごめん!
真っ暗、怖いよね!」
「ごめんな……
怖かったな」
英雄さんが、そう言って理香の頭を撫でる。
私は、ハンドタオルで理香の涙を拭った。
「理香。
ケーキを食べようか?」
英雄さんが、そう言うと理香は、涙を止めて大きく頷いた。
「じゃ、ケーキを切るぞ」
英雄さんが、そう言って大きなケーキを3等分してくれた。