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シチューの準備は出来た。
あとは、英雄さんを待つだけ。
理香と一緒にアンパンマンを見た。
そして、暫くするとインターホンが鳴った。
「パパかな?」
理香は、嬉しそうに私に尋ねた。
「どうだろうね?
理香、お出迎えしてくれるかな?」
「うん!」
理香は、走った。
玄関に向かって走った。
ゆっくりと玄関の扉が開く。
英雄さんが立っていた。
両手にいっぱいの花を持ってニコニコ笑っていた。
「パパ!」
理香は、英雄さんに飛びついた。
「理香!
誕生日おめでとう!」
「たんじょうび?」
理香が、不思議そうに首を傾げた。
「今日は、理香が産まれた日なのよ。
わかる?」
私は、笑顔で答えた。
そっか、まだ誕生日の自覚はないのね……
「はい、ケーキ」
英雄さんは、私にケーキを渡した。
「え?
ケーキ?」
理香は、嬉しそうに英雄さんの胸の中で暴れた。
「こら、暴れるな!」
英雄さんが、苦笑いを浮かべて理香の頭を撫でた。