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私は頬がパンパンに膨れ上がるまで武さんに殴られた。
痛い。
痛い。
痛いよ……
私は、逃げるように自分の部屋に戻った。
「鬱陶しいから、もう出てくるな!」
武さんは、そう怒鳴ると私は、怖くて、怖くて、怖くて……
ただひたすら怖くて布団の中に潜り込んだ。
布団の中に潜り込んで、耳を塞いだ。
そして、いつしか私は眠っていた。
目が覚めた時、夜になっていた。
ほんの僅かな声だけど、ママの声が聞こえる。
ママと武さんが、話している。
私は、2人に見つからないように近づいた。
「なぁ、あのガキ邪魔なんだけど?」
「え?」
「理香だっけ?
俺の子じゃないし……
処分してくれないか?」
「処分って、ペットじゃないんだから……」
「子供なんて、いらないじゃないか……
俺を取るか、ガキを取るか選んでくれよ……」
「……え?」
「もちろん、俺を選んでくれるよな?」
「そうね……」
どういう事?
私、捨てられるの?
由香も捨てられるの?
そう考えると、怖くなった。
「じゃ、殺してくれるな?」
武さんの言葉に私は、凍りついた。