33
一日、一日が過ぎる度に、私の火傷の跡は増えて行った。
お外へ出ることもなくなった。
家には、武さんと由香の3人しかいない。
「おい、ガキ!
ちょっと来い!」
なんだろう?
私は、言われるままに武さんの元へ行った。
すると武さんが突然。
私の右の頬を叩いた。
「痛い……」
「勉強の時間だ。
イエス・キリストは、こう言った。
『右の頬を打たれたら、左の頬を差し出せ』ってな!
言葉の意味わかるな?」
武さんは、ケラケラと笑う。
「わからないよ!
私は、イエスなんとかって人じゃないもん!」
「じゃ、ママを殴るか」
「え?」
「それとも由香がいいかな?」
私にはどうすることもできない。
私は震えながら顔を上げた。
「……はい」
「わかったら、左の頬を向けろ!」
私は、首を横に振った。
そしたら、強引に私の左頬を叩いた。
どうして?
どうしてこんなことするの?
私には、わからない。
なにもかもわからない。
ただ、ただ、ただ。
それが、つらかった。