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 パパが作ってくれた料理は、コロッケだった。
 外がサクサクで、中はホクホク。
 美味しかった。

 ママも美味しいって言ってる。
 だけど、その表情は寂しげで悲しげだった。

 ママは、涙を流しながらコロッケを食べていた。

「ママ、どうして泣いているの?」

「静どうしたんだい?」

「なんでもないの……
 なんでもない……なんでもないの……」

 ママは、ボロボロと涙をこぼした。

「そっか……」

 パパは、ママの傍に座るとママの体を抱きしめ。
 そして、ママの頭を優しく撫でた。

 ママの涙は、止まる事はなかった。
 パパは、優しくママを包み込み。
 優しく撫でた。

 私は、何も言えない。
 何も言えなかった。

 私は、ただその2人を見ているしか出来なかった。
 スプーンで、コロッケをすくった。
 それを口に運ぶ。

 美味しい。

 私の心の中の鐘が、鳴った。
 パパもママの顔に笑顔が戻る。
 このまま笑顔が戻るんだと思っていた。

 だけど、現実は私には優しくはなかった。


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