12
「ママ帰ってこないの?」
私の心の中は、不安でいっぱいになった。
不安で不安で仕方がない。
でも、パパはニコニコと笑っている。
「そうだな……
明日の朝になれば戻ってくるだろう」
「ホント?
ホントに戻ってくる?」
私の目に涙があふれる。
「ああ。
だから、もう一回おやすみ」
「ママ、どうして帰ってこないの?
私のこと嫌いになっちゃったの?」
「そんなわけあるもんか……
ママはな、最終の電車に乗り遅れたんだ」
「え?」
「電車において行けぼりをくらったんだ……」
「わかんない……」
「大丈夫。
帰ってくるさ。
だから、もうお休み」
パパが、そう言って私の頭を撫でてくれた。
ママが居ないのは悲しいけど、パパが傍に居てくれる……
それだけで、私の心は少し暖かくなった。