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「僕、大きくなったらヒーローになるんだ」

 それは、幼き頃のセロの夢だった。
 優秀なヒーローである両親を前に毎日のように言っていた。
 しかし、それはヒーローによって打ち砕かれる。
 ヒーローがヒーローを殺した。
 それは、これから起きる出来事のきっかけにしかすぎなかった。

「オトネ。
 待ってろ。
 すぐに助けに行く」

 セロがゆっくりと立ち上がる。

 しかし、その腕を虎マスクの青年、星野新一が掴む。

「待ちなよ。
 今のキミではあのフィサフィーはおろかテオスの幹部にすら勝てないよ」

「勝てなくても勝つ」

 新一の言葉にセロが冷たく放つ。

「オトネさんの覚悟を無駄にする気かい?」

 新一の言葉がセロの胸に深く刺さる。

「……僕の螺子の力ならフィサフィーだろうがモトフミだろうが倒してやる」

 セロはそういったもののどうすることもできないことはわかっていた。
 だが、なにもできないのが嫌だった。
 すると新一は虎マスクを外した。

「僕の目を見て」

「うん?」

 セロは、新一の目を見た。
 すると睡魔が襲ってきた。
 そして、深い眠りに落ちた。

「瞳術を使ったのかい?」

 裕也が新一に尋ねる。

「うん。
 少し手荒いけどこうするしかこの子を救う方法が思いつかない」

「そうだね。
 でも、そう長くは持たないんじゃないかな?」

「うん。
 とりあえず屋敷に運ぼう」

 新一がセロの身体を持ち上げる。

「テオス……
 まさかここまで強いだなんて思わなかった」

 裕也がそういうと新一が言葉を返す。

「そのテオスに危険視されているキミはもっと凄いんだろうね」

「……そんなことはないよ」

 裕也が首を振った。

「さぁ、警察が来る前にここを去ろう」

 新一がそういうと裕也がうなずいたあと姿を消した。
 新一もすぐに姿を消す。
 残されたのはキョトンとしている女子高生のみ。

 世界がゆっくりとまわる。
 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくりと……

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