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あの人には感謝している。
孤児院にいた僕たちを引き取ってくれた。
どういう経緯かは、解らないけど。
僕たちが、この人に引き取られたのは6歳。
そこからずっと僕らを育ててくれた。
僕は、手を振り母親を見送った。
「今日から、二人っきりだね」
瞳が、小さく呟いた。
「そうだね」
今までと対して変わらない気がするけど。
「私が、しっかりしなくちゃね!」
瞳は、小さく呟いた。
「あんまり気張らないでね?」
「アンタが、もうちょっとしっかりしてくれれば、私は苦労しないの!」
「はははは……」
僕は、笑って誤魔化した。