08
「結城弟、あとで職員室に来るように!」
「ちょっと、先生」
「とりあえず、水谷さん。
今開いている席は、あの野獣の後ろしかないのだが」
「問題ありません」
水谷さんは、そう言うと僕の席の後ろ座った。
うわ。
女子の視線が痛い。
HRが終わると、僕は担任に呼び出され一部始終を話した。
すると、担任は安堵の溜息をついたあと小さく笑った。
「そうか、そういう事情か……
まぁ、あの子も前の学校で色々あったんだ。
できれば、仲良くしてやってくれ」
僕は、そう言われると軽くうなずいた。
教室に戻ると瞳が僕の誤解を解いてくれたらしく、冷ややかな目を送られる心配はなかった。
水谷さんは、クラスメイトたちに質問攻めにあっていた。
無口であまり話したがらないタイプな為か、かなり戸惑っていた。
よく見ると、容姿も結構可愛く。
身長も小柄なため、特に男子達が集まっていた。
水谷さんは僕の存在に気づくと小さく謝った。
「ごめんなさい」