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心霊トンネル

  
  
「凍える思いまでして来たのに何もないってどうよ」
 暗いトンネル内を見回しながらトシオがふくれっ面をする。
「案外そんなもんさ。なっ」
 マサシが懐中電灯の光をぐるぐる回してからユースケの顔に当てた。
「眩しいなっ。だからいやだっつったんだ。わざわざ雪降った日にこんな心霊スポットなんて」
 大寒波により普段あまり降らないこんな地域まで雪が積もっていた。びちゃびちゃの雪道を無理やり走ってきたが、ノーマルタイヤでは厳しい状況で、ユースケは何度もやめようと訴えたが二人は聞き入れなかった。
「でもこんな雪国みたいになるなんて、それ見れただけでも儲けもんか」
 トシオがスマホを取り出し、トンネルの入口にぶら下がった大きなつららを下から撮ろうとした。
 突然、つららが根元から折れ、トシオの胸を貫いた。
 白い雪が真っ赤に染まる。
 祟りなのか事故なのかわからないが、心霊スポットになどむやみに行くものではない。

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