13
「See you again」
何者かの声が聞こえた気がした。
13は振り向く。
しかし、誰もいない。
「気のせいかな?」
13は、正面を向く。
そして、足を進める。
「どうかしたのかい?」
サイアスが13の方を見て尋ねる。
「んー
なんか気配を感じるんだ」
「気配?
ここに僕たち以外がいるってことかい?」
「うん」
「ここにはまだ僕と君しかいないはず」
「でも、声が聞こえた気がしたんだ」
「声?」
「うん。
『See you again』って言っていたよ」
「うーん」
「まるでささやくような声だったよ」
「ささやき?
それは、もしかしてミュルミュールかな」
「ミュルミュール?」
「そう。
そのささやきを聞いた人は特殊な能力に目覚めるらしいよ?
まぁ、都市伝説みたいなものさ」
「そっか」
13は、正面を見つめる。
「来たね」
サイアスが、そういうとパンドラ艦が到着した。
そして、男が現れる。
バルドだった。
「おっす。
13、無事だったみたいだな」
「うん。
なんとか大丈夫」
13が小さく笑う。
「お、笑えるほど元気はあるようだな」
焔がそういって、そのあとシエラも現れた。
「13くん。
亜金はまだ??」
「うん。まだだよ」
「そっか」
「安心したまえ。
アンゲロス艦も到着だよ」
サイアスがそういうとアンゲロス艦が到着した。
「お?パンドラ艦の方が早かったか……」
ジョーカーがそういって現れる。
「久しいなジョーカー」
「おう、バルド。
お前は老けたな」
「そうだな。
俺らは人間だからな老いは早いさ」
そういってバルドは笑った。
「亜金、いらっしゃい」
一花が、そういって亜金の手を引っ張って現れる。
「亜金!」
シエラが、亜金の身体に飛びつき抱きしめる。
「……誰?」
亜金が、きょとんとした顔でシエラの方を見る。
「亜金、シエラだよ?
あなたのお姉ちゃん」
「姉さん?」
「そう」
シエラが小さく笑うが、亜金は複雑そうな顔をしている。
「嬢ちゃん。
亜金は今、記憶がないんだ……」
ジョーカーが申し訳なさそうに言った。
「はい。
そうみたいですね。
話は聞いていたのですが実際に直面するとつらいですね」
シエラは、涙を拭った。
「バカ亜金。
その女だれ?愛人?」
シエラが、その声の方を見る。
すると金髪で整った顔で胸が大きい少女が仁王立ちで立っていた。