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北野の休日③




また現実に戻ろう。 みんなのことを話し終え、次は『みんな一人一人のことを話してほしい』と言われたのだ。

「いいよ。 じゃあ、1組から順番にいこうか。 まずは御子紫から。 彼とはよく、一緒にいることが多いんだ。
 でもみんなとはクラス離れちゃって、御子紫が一人になっている状態なんだけど。 最初は心配だったけど、友達もできたみたいでよかったと思っているよ。
 それにいつも元気で、いい友達。 御子紫がいつも場を盛り上げてくれるんだ。 ・・・あぁ、あと、御子紫はユイを一番尊敬している」

「じゃあ、次は2組。 2組と言えばあの仲がいい二人だよね。 ・・・そう、コウと優さ」

「・・・あぁ、うん。 みんな“コウ”って呼んでいる。 ・・・どうやら、自分の名前が気に入っていないらしくてね。 
 メールでコウの名前を打つ時も、絶対にカタカナにしている。 自分の名前の漢字が嫌いみたいなんだ。 ・・・俺は、カッコ良い名前だと思うんだけどなぁ」

「いいよ。 コウは人思いなんだ。 人っていうか・・・友達思い。 そのせいで、自己犠牲することが多い。
 自分を犠牲にして俺たちのことを守ってくれるのは嬉しいんだけど、それがあまりにも酷くなってしまう時があってね。 
 だから、有難いけど俺たちにとって迷惑な時もあるんだよね」

「優はとにかく、いじめが嫌いで優しい人。 “正義のヒーロー”っていう言葉がぴったり。 人がいじめられていたり困っていたりすると、すぐに現れるんだ。 
 躊躇とかもない。 迷わないんだよ、優は。 強いよね。 心では、優が一番強いのかもしれない」

「・・・え? どうしてそんなにこの二人は仲がいいか? ・・・んー。 確かに、二人は仲がいいよね。 互いにお泊りとかも結構しているみたいだし」

「・・・過去、か。 確かにコウと優には仲よくなったきっかけがあったみたい。 そのような話、ユイから聞いたことがあるよ」

「どんな話、かぁ・・・。 ・・・ごめん、それに関してはよく分からないんだ。 でも出会ったのは、小学校の時みたいだよ。
 俺は二人と同じ小学校じゃなかったから、詳しくは知らないんだ。 ・・・あ、でもコウから話しかけたって聞いてるよ。
 意外だよね、いつも優が『コウ、コウ』って言いながらくっついているのに、まさかコウから話しかけるなんて」

「いいよ、じゃあ3組。 俺のことは・・・言わなくてもいいかな? ・・・え、言う? えー・・・」

「『何でもいい』って言われても。 あー、じゃあ、俺は怪我の手当てが得意。 それでいい?」

「・・・え、どうして得意なのか? ・・・。 ・・・まぁ、そりゃあ練習したからかな」

「椎野のことね。 椎野とも仲よくしてもらっているんだ。 とにかく、人思いで優しい人。 そう、コウと優を足した感じ!
 悪い人がいても、ソイツをいじめたりなんて絶対にしない。 いつも中立な立場でいようとしてさ。 俺たちに逆らってでも、中立な立場でいようとするんだ。 
 だから、椎野も強い人だと思う。 あー、あと確か、椎野には歳が結構離れた弟がいたよ。 思ってた以上に離れていたから、何か憶えているんだ」

「じゃあ4組。 夜月から。 ・・・え? あぁ、うん。 カッコ良い名前だよね。 ・・・あぁ、うん。 そう、イケメン、だね・・・」

「夜月は俺たちを引っ張ってくれている、お兄さん的存在かな。 未来から聞いたけど、夜月は小さい頃から物静かでクールな性格だったらしい。
 でも今からすれば、夜月はいつも俺たちのことを後ろから温かく見守ってくれていて『大丈夫だよ』って励ましてくれる。 それにいつも、前向きでいてくれて。
 だから未来が言っていた『物静かでクールだった』っていう言葉に何か引っかかるんだよね。 本当にそうだったのかなって。 今では明るい方なのに、過去に何があったんだろう」

「・・・あぁ、夜月とは一緒の小学校だったよ。 んー、一緒のクラスには何度かなったけど、物静かっていうイメージはなかったなぁ・・・。
 未来たちと仲よくしていて、いつも笑っていた気がするけど・・・」

「未来と悠斗のことだね。 あの二人は幼馴染なんだ」

「・・・そんなに驚くことかな? ・・・うん、性格は正反対だよね。 好きなものとか苦手なものとかも、ほとんどが正反対じゃなかったかな」

「うん、凄いよね。 じゃあ悠斗の話からしようか。 悠斗はいつも冷静な人でさ。 その反対に、未来は常に積極的でしょ?
 未来はすぐに暴走しちゃうんだけど、そんな彼を止めることができるのは悠斗だけなんだ。 まぁ、ユイが止めることも一応はできるんだけど」

「・・・うん、だけど、たまにユイを裏切って暴走する時もあって。 そうなったら、もう悠斗しか止められないんだ」

「そうだよ。 未来は悠斗の言うことなら、必ずと言っていい程聞く。 ユイの言うことよりも」

「未来のことか。 ・・・正直、未来のことは最初怖かったんだ。 ・・・ほら、今言ったようによく暴走するし、すぐカッとなるし。
 でもそうなるのは、全て俺たちのことを思ってのことなんだけど」

「でも、そんな印象もすぐに変わった。 俺と初めて接した時、凄く優しくしてくれて。 『今日から北野も仲間だぞ』って言ってくれたり。 常に熱くて、いい人だと思う。 
 凄く仲間思いなんだ」

「じゃあ、ラスト5組。 真宮のことかな。 真宮はユイと同じで、リーダー的存在でもあるんだ。 本当、凄い人だよ。
 誰か仲間が困っていると、すぐに気が付くんだ。 ほんの些細な事でも。 何か、そういう能力でもあるのかなって思うくらいに。 ・・・いや、これ本当だよ?」


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