6 君だけのために
私は放課後…見てしまいました…蓮くんに告白する百瀬さんを…
「蓮…もう幼馴染っていう関係じゃ嫌なの…私と付き合ってほしい…付き合ってくれるなら…咲祭のダンス…一緒に踊ってほしい、咲祭の後…ここで待ってるから。」
「…わかった」
そういいながら、屋上から飛び出てきた百瀬さんは屋上前の階段にいた私の前で止まった。
「…ライバルちゃんも話しがあったんだね…私はもう立ち止まらないから、ライバルちゃんには負けないから」
そう言いながら帰って行く百瀬さんは少し涙目になっていた。
私はその後…誘う気にもなれず、帰ろうとしていた。そのときだった。
「佐倉…?」
「蓮くん…」
私たちは屋上でさっきのことを話した。
「さっきの話…聞いてたんだ…」
「うん…」
「そ、そういえば、最近咲祭の準備で周りが賑やかになったよね!」
「そうだね…私たちはすぐに準備終わって、あとは委員会の仕事だけだね。」
さっきのことは話したくないのかな…?それでも…私は知りたい。
「蓮くん…!さっきのこと、どうするの?」
「…行かないつもり」
「そ、そうなんだ…」
心の中で喜んでしまった私は…きっと嫌な人間なんだろうな…それでも、嬉しいことには変わりない。
「れ、蓮くんは…好きな人いるの?」
「…いるけど、教えない…ていうか、そういう佐倉はどうなんだよ」
「私も…教えない」
少しの間、静かな時が訪れた。
その後、私たちは咲祭の委員会の仕事を少し終わらせて帰った。一緒に帰ったけど、家の前のまた明日、以外は会話がなかった。
好きな人って誰なんだろ…気になる…ていうか、私も好きな人いるって言っちゃったな。なんかもう…咲祭の準備とか、ライバルの百瀬さんの告白見たり…今日はもう…疲れたよ。
後日…私は風邪をひいてしまった。疲れからくるものだと思うけど…念のため今日は休もう……寝よう
私はインターホンの音で目が覚めた、体が少し軽くなっていた。ずっと寝てたからかな、とりあえず、玄関開けなきゃ、今お母さんとお父さんは仕事だし。
「はーい…」
「佐倉…咲祭の資料渡しにきた…後見舞…」
「蓮くん…蓮くん…!?とりあえず私の部屋入って…」
「…おじゃまします」
蓮くんは私よりも顔が赤くなっていた。風邪うつしても悪いから、早めに帰ってもらったほうがいいかな?…帰って欲しくないけど。
「えと…これ、明日と明後日にやる咲祭のプリント、委員会のやつと、クラスのやつね」
そっか…明日だったのか忙しすぎて全然分からなかったよ。
「ありがとう…」
「あと、これ」
「美味しそうな果物だね…ありがとう」
心配してくれたのかな?嬉しいな…
「その…体調はどんな感じなの?」
「うん…もうほとんど元気かな…心配かけてごめんね!」
「いや…元気なら良かった、最近忙しかったからね…」
「委員会の仕事任せっきりでごめんね」
「いや…大丈夫…それで…その、話があるんだけど」
改ってなんだろう?委員会の話かな?それとも…百瀬さんの話!?!?
「その…俺と…最後のダンス…踊ってほしいんだ」
「え…でも百瀬さんと…」
「香織とは…踊らない、佐倉と踊りたいんだ」
「わかった…でも、それってどういう意味…」
「それは…あ!もうこんな時間だから帰るね!お大事に!」
…なんか焦ってた?というか…私から誘うはずが誘われちゃった!?なんで!?え?どうして…なんか、また熱が上がってる気がする…もう一回寝よう…そらから、考えよう。
起きたら夜だった。お母さんとお父さんが帰ってきて、夕飯の準備ができていた。お母さんには、友達がお見舞いにきたって言ったけど、なぜかお母さんは笑っていた。
「佐倉…明日は学校行けそう?」
「うん…咲祭もあるし、楽しみだな〜」
「じゃあ今日は早く寝なさい」
とりあえずご飯を食べて、いつものように寝支度を済ませた。…私は、だんだん普段の生活が輝いて見えるようになった。これは…恋のせいなのかな。それとも蓮くんのせいなのかな…どっちもかな。