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執事コンテストと亀裂㊶




「お。 やっと来たか」
結人は赤眼虎のリーダーであろう人物の目の前に立った。
―――レアタイのリーダーの顔はあまり憶えていないけど、こんな顔だったっけな。
リーダーは結黄賊のことを見て、不満そうな表情をしながらこう口にする。
「お前ら、何か人数少なくねぇか?」
その質問に返そうとすると、その男は続けて言葉を発した。

「折角お前らと同じ人数、20人を集めたのにな」

「・・・」
―――どうして結黄賊が20人っていうことも知ってんだよ。
―――それに俺たちを思うような、そんな気持ち悪い親切なんていらねぇ!
そこで結人は、少し余裕を見せながら相手に挑発を与えてみる。
「生憎、今日後輩たちはいなくてね。 でもまぁ、お前らなんて俺たちだけで十分さ」
―――少しでも、手応えのある喧嘩にしたいしな。
「ほぉ。 ナメたことを言ってくれるじゃねぇか」
そう口にし、目の前の男はニヤリと笑った。 結人がリーダーと挑発し合っている間、結黄賊のメンバーはそれぞれ戦う配置につく。 

ここからが――――結人たちの戦いだ。

「それじゃあ早速、決闘の開始だ!」
赤眼虎のリーダーのその合図に、結人たちは一斉に気を引き締め戦闘態勢をとる。 

が――――合図を出して、早10秒。 

結黄賊と赤眼虎は共に、誰も動かない。 そしてこの異様な光景に、赤眼虎のリーダーは突然何かを思い出したのかこう呟いた。
「おっと、そうだった・・・。 お前ら、相手が手を出さないと喧嘩ができないんだったな?」
またニヤリと笑いながらそう口にして、男は結人に向かって全力で走ってくる。 それと同時に、鉄パイプを結人に目がけて振り下ろした。

―ガスン。

「うッ・・・」
結人の肩には低くて鈍い音が響き渡り、あまりにも強い衝撃によりその場に崩れ落ちた。 正確に言えば、相手は肩を狙ってきたわけではない。 
結人の頭を目がけて振り下ろしてきたのだ。 だからそれを避けるために少し右へ避け、わざと肩にぶつかった。
「ユイ!」
その光景を見て、後ろにいた御子紫が急いで結人のもとへ駆け寄って身体を支える。
「大丈夫だよ。 ありがとな」
そう言いながら折角支えてくれた彼の手を払い除け、先刻打たれた左肩を右手でさすりながら自分の力で立ち上がった。 肩の痛みが思った以上に酷い。 
“今からの喧嘩に支障が出るな”と一瞬思ったが“俺がみんなの足を引っ張ってどうするんだ”と思い、自分に喝を入れた。 
―――こんな痛みなんて、早く忘れろ!

「お前ら・・・。 覚悟、しておけよ」

目の前にいる男を睨みながらそう言葉を発すると、赤眼虎が一斉に結黄賊に押し寄せる。 結人はリーダーから来る攻撃をかわし、相手の腕を掴み膝で腹を蹴った。 
するとあまりの痛さに、相手は腹を抱えながらその場に崩れ落ちる。
「こんなんで終わりか? 早く立てよ!」
「・・・うおおぉおおおあああぁぁ!」
その挑発により、リーダーは再び叫びながら突進してきた。 そんな男に、結人は睨み返す。

―――俺だって、負けらんねぇんだよ。





結人が戦っている間、未来と悠斗は結人から見て右側で戦っていた。
「何だよお前、弱いな? 折角強くなったお前らと一緒に、戦えると思ったのによー」
「あぁ? うるせぇぞ!」
未来の挑発に、相手は簡単に乗ってしまう。 未来の相手をしている奴は、結人と同様こちらへ向かって鉄パイプを振り下ろしてきた。
「うおりゃ!」
だが相手の動きを先読みして避け、相手の腕に思い切り肘打ちを食らわす。
「うあッ!」
肘打ちを食らわせたことによって相手が鉄パイプを手から放すと、未来はすかさずそれを奪い取った。
「へへッ、もーらい! ユイ! ほらよ!」
結人を呼び、目が合ったことを確認して鉄パイプを彼に向かって放り投げた。
「あぁ、ありがとな!」
「おい・・・。 何してくれてんだよ」
“ユイの手助けになってよかった”と思い顔を綻ばせていると、相手がゆっくりと立ち上がりながらそう口にする。
「お前が手から放すのがいけないだろ? ははッ、ざまぁみろ」
「未来! これをやる」
悠斗が未来の後ろから声をかけ、相手から奪い取ったのであろう鉄パイプを未来に手渡した。
「お! ありがとな。 後ろは任せたぜ、悠斗!」
「おう」

そう――――未来と悠斗はお互いに背中を預けて、それぞれ戦っていたのだ。

「それじゃあ、喧嘩再開しますか」
そう言って、ニヤリと未来は笑い男に向かって勢いよく駆け出す。 

その頃悠斗は――――相手の男と、睨み合いをしていた。
「お前、静かそうに見えて結構Sなんだな」
相手が悠斗に向かって冷静にそう口にする。
「そりゃありがとう」
その発言に対し、悠斗はいたずらっぽく笑いながらそう返した。 その返事を聞いた瞬間、男は不気味な笑みを浮かべたまま口を開く。
「俺も、人が痛め付けられているところを見るのが大好きなんだよ」
だが、その発言を聞き――――悠斗からは、笑顔が消えた。

「・・・俺は嫌いだよ。 人が痛い目に遭っているのを、見るの」

「・・・これだから嫌いなんだよ。 結黄賊のやり方は」

そう言いながら、相手は悠斗に向かって襲いかかる。 だがその攻撃を軽々と避け、そのまま足で相手の脇腹に目がけて手加減をしながら軽く蹴り、悠斗はこう言った。
「じゃあ、どっちが強いのか勝負だな」





その頃御子紫は結人の後ろで戦っていた。 結人の背中を、守るように。
「ユイには指一本触れさせねぇ!」
「それは俺らを倒してから言えよ」
「お前らなんて、本気を出せば一瞬で終わるぞ?」
「ふッ、俺たちもナメられたもんだな」
御子紫と一人の相手が何も戦わずただ言い合っている。 

が――――その間に、もう一人の相手が御子紫たちををよそに横から結人に近付こうとした。

「・・・ッ! だから、行かせないっつってんだろ!」
御子紫は結人に被害を与えるギリギリのところで相手に気付くことができ、強い飛び蹴りを食らわせた。


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