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 白銀の身体は燃え上がり。
 そして、灰となり消えた。

「えっと……
 状況がわかんないんだけど」

 イリアが、赤い眼の白銀の方を見る。

「僕が本物の白銀さ」

 白銀が小さく笑い赤い眼が金色の眼へと変わる。

「うむ、この魔力は確かに白銀どののものだ。
 だが、先程死んだ白銀の魔力も……」

 モスマンが、顎に手を当てて考える。

「クローンかなにかやったんか?
 それとも兄ちゃんの邪悪なる心が物質化した存在とかか?」

 ハデスのテンションが上がる。

「そんなんじゃないよ。
 彼は僕の髪の毛から作られた人形さ」

「そういうのをクローンっていうんとちゃうん?」

「まぁ、クローン定義を語ると長くなるから控えておくよ。
 彼を倒したことでモンスターたちが撤退していくね。
 とりあえず防衛成功なんじゃないかな?」

「ああ。そうだった。
 ここは私ひとりで十分だ。
 イリア、トール。
 主らはテオスの城を攻撃しに言ってくれ……
 この魔力。
 ジョーカー殿が戦っておられる」

 すると女が息を切らしながらボクたちの側に駆け寄る。

「あ、早くいずみさまをお助けください」

「どういうこと?」

 イリスが女に尋ねる。

「話は、移動しながらしよう」

 白銀がそういって歩きだす。

「あ、はい」

 イリアが、うなずくのを確認したボクも歩きだす。

「兄さん。いってまいりますね」

 イリアが、モスマンに軽く頭を下げるとトールも頭を下げる。
 そして、ハデスも歩きだす。

「さて……
 私はモスマン軍の兵を集めて作戦会議だな」

 モスマンは、そう呟くとモスマン城の中に戻った。





 ――テオス城

「なんやここ。
 空間がぐっちゃぐちゃやな」

 ハデスが、そいうと白銀が笑う。

「そうだね。
 これがテオスの魔力兵器さ。
 色んな場所に空間をねじ込ませどんな場所にでも侵入することが出来る。
 だから、テオスの潜入率はほぼ100%なのさ」

「でも、それってこちらもこうやって侵入することができるってことですよね?」

 ボクがそういうと白銀はうなずく。

「侵入者は、即殺されるよ」

「じゃ、もしかしてあそこにいる人は……」

 ボクが指をさす。
 モンスターたちが群がっている場所を指差す。

「あれは、火の海地獄の戦士たちです」

 女が答える。

「……敵?」

 トールが尋ねる。

「いえ。彼らはボクさまに救われたためこちらの味方になってくれています」

 女がそういうとモンスターたちが手を振っている。

「敵じゃないのならよかったよ」

 トールは指を降ろした。

「では、行くよ。
 魔力探知でジョーカーくんの場所を特定したよ」

 白銀が、再び歩きだす。

「でも、この感覚。
 幹部クラスのが、いずみさんを含めて3人はいるよ」

 トールがそういうと女は早足になる。

「早くしないと……」

 女の眼に涙が溢れる。
 するとモンスター兵の亡骸につまずく。

「大丈夫かい?って……」

 トールは驚く、そこにはおびただしいほどのモンスター兵の亡骸が転がっていた。

「この人たちは、火の海地獄の戦士のみなさん?」

 ボクが女に尋ねる。

「違います。
 彼は、テオスの兵です」

「じゃ、誰が――」

 トールがそこまで言ったとき。
 壁が破壊され、ひとりの男が現れる。

「強力な魔力があると思ってきたら白銀……お前か?」

 彼の名はジョーカー・キング。
 アンゲロスの戦士だ。

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