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白銀は、清空に連れられて……
はじめて空を見た。
地上を見ていった。
「外ってこんなに暖かいんだね」
白銀は産まれて初めて感動した。
「ああ」
「あれはなに?なにかが浮いているよ」
「あれは、鳥だ」
「鳥!?」
「じゃ、この細長くてカサカサしてるのは?」
白銀は木に手を触れてそういった。
「それは木だ」
「へぇ。これが木!
じゃ、あれ?これは?」
白銀は目をキラキラさせて周りを見た。
「じゃ、まずお前を紹介せねばならない人がいる」
「誰を紹介してくれるの?」
「スラッグ王。
私の所属している国の王さまだ」
「王さま!」
白銀の鼓動が早くなる。
「ああ」
清空は、そういって宙に浮く。
「君すごいね!」
「ああ、白銀。
主は空を飛べるか?」
「空は飛べないけど。
歩けるよ」
白銀は、そういって空を歩く。
「……白銀、君は凄いんだな」
「そう?これくらい普通さ」
清空が目を凝らし白銀の足元を見てみる。
白銀の足元には糸のようなものの上を歩いていた。
「糸の上を歩いているのか?」
「うん。
蜘蛛の糸だよ。
足から蜘蛛の糸を出して、蜘蛛の糸が落ちる前に歩くんだ」
「理屈はわかった。
でも、それだと止まったとき落ちなくないか?」
「それは、普通の糸の場合じゃない?
僕の魔法の糸はそんなやわじゃない」
「そうか」
清空は白銀の言葉にうなずいた。
糸の理屈はわからない。
だけど白銀が凄いということだけは理解できた。