72
「……ん?」
13が小さく空を見上げる。
「13くんどうしたの?」
ボクが尋ねる。
「あー」
「うん?」
「僕も覚醒したっぽい」
13が小さく言った。
「覚醒……したのか?」
座来栖が驚く。
「うん」
「覚醒ってなに?」
ボクが尋ねる。
「僕も咎人になったってことさ」
13が小さく笑う。
「え?覚醒ってそんなにポンってなるもの?」
「うん。
そうっぽい」
「特殊の能力はなんだ?」
ジルが会話に入る。
「メモリーかな。
その人の記憶を記憶媒体で映したりすることができる」
「戦闘向きじゃないか……」
ジルがうなだれた。
「そういえばジャキの能力はなんなんだい?」
ベルがジャキに尋ねた。
「絶対命中」
ジャキがそういうとジルが驚く。
「それで、お前射撃が得意なんだな」
「ああ」
戦争をしている。
そんなことを想像できない。
平和な日常。
ボクは思う。
この平穏が続きますように。
戦争なんてなくなれ。
だけど現実は優しくない。
「みんな。
揃っているところ悪い」
ジョーカーが現れる。
「ん?なんかあったのか?」
ジルがそういうとジョーカーが言う。
「テオスの襲撃がモスマン王国に来たとの報告が来た。
そして、それに伴い。
救援部隊と防衛部隊に別れることになった」
「モスマン王国?妖精もテオスの攻撃対象なのか?」
「テオスは、自分たちに従わないモノ全てを滅ぼす。
それがテオスだ」
ジョーカーの言葉に13が答える。
「そうだね。
で、僕らはどうすればいい?」
「ああ、お前らは――」
ジョーカーが指示を出す。
ボクとジル。
ベラとジャキ、13は救援部隊に選ばれた。
「俺は防衛か……」
座来栖がそういうとジョーカーが答える。
「ああ。狙撃で敵の数を減らして欲しい」
「了解」
座来栖は、うなずいた。