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そして、並べられる料理。
恐らくそれは、7人家族でも食べれない量があるだろう。
「さぁ、ボク!食べて!食べて!」
「えっと」
ボクは戸惑いつつ亜金の方を見る。
「これ、みんなピノさんが作ったの?」
亜金は、なんとか逃げる道を探しつつピノの方を見る。
「安心して!
このクマは私が狩ったから!」
「クマの肉って売っているんだ……」
「なにを言っているの?」
プレゲトンが首をかしげる。
「え?お店で買ったんじゃないの?」
「森で狩ったのよ」
「森で売ってたの?」
「違う、私が素手でクマを倒したのよ」
「……え?」
亜金は、言葉を失った。
森のクマといえば、そこそこ強い。
それは、亜金でもわかる。
「えっへん!亜金私に惚れた?」
「えっと凄いね」
亜金は苦笑いを浮かべた。
「ボクボクボクボク!
ピノはね恐竜を狩ったんだよ」
ボクの頭はまっしろになる。
このパターン。
食べなくちゃいけないパターンだ。
とてもひとりでは食べきれない。
そう思ったとき。
ひとりの勇者が現れる。
「おお?なんかうまそうじゃないか!」
灰児だった。
「灰児さんも一緒に食べません?」
ボクが灰児に提案した。
「いいのか?」
「よし!じゃ、俺はみんなを呼んでくる」
ジョーカーはそういってその場を離れようとした。
「わーい。
みんなでご飯楽しみだなぁー」
ピノの笑顔にジョーカーは、がっくりと肩を落とした。
逃げるつもりだった。
だが、ピノの笑顔を見て逃げれるほど……
ジョーカーは薄情にはなれなかった。