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「ボクをどうするおつもりですか?」
ボクの言葉にフィサフィーは笑う。
「どうもせんよ」
「え?」
「ここはテオス。
ここにはお主と同じような咎人と呼ばれるモノが沢山いる」
「そうなのですか?」
「ああ。主も今日から仲間じゃ」
「そうですか……」
ボクにはわかった。
なんとなくだがわかった。
フィサフィーは、嘘をついている。
理由はわからない。
ただそんな気がした。
「ここにはなんでもあるぞ?」
「なんでも?」
「主、女は知っているか?」
「え?女の人がいることをですか?」
「いや、抱いたことはあるかって意味じゃ」
ボクの顔が赤くなる。
「し、知りません」
「ここでは、人間の女は抱き放題じゃ」
「え?」
「ここで人間は奴隷じゃからのぅ。
主が今まで受けた環境と逆じゃ。
咎人が奴隷扱い受けるのではない、ここでは咎人は選ばれし者じゃからのぅ」
「……そうなのですか?」
「うむ。
憂さ払いに女を殴っても誰も責めん。
なんなら殺してもいい」
「ええ?」
「なにを驚いておる。
主はそういう環境にいただろう?」
「孤児院に来てからは、そんな扱いは受けていません」
「うむ……
孤児院?」
「はい。
詩空孤児院です」
「白銀の孤児院かいのう?」
「先生を知っているのですか?」
「ああ、ワシらの仲間じゃ」
フィサフィーはそういって自慢の髭を撫でた。