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 そして運命の日がやってくる。

「いきなり実践なんですか?」

 ボクは、新一に尋ねた。

「んー実践というかなんというか」

 ボクたちの周りには沢山のモノたちが囲んでいた。
 男や女、魔力の高いものたちが集まっている。

「こいつらなんだ?
 この魔力の感じ人だよな。
 テオスの部下か?」

 灰児が、そういって大鎌を召喚し構える。

「む?そなたらはですますスイッチの勇者か……?」

 大柄の男がそういって灰児たちに近づく。

「デスペルか?」

 灰児が、鎌を降ろす。

「お前ら!武器を降ろせ!」

 デスペルがそう指示を出すと猛者たちは武器を降ろした。

「どういうことだ?親父!」

 ジルが、デスペルに尋ねる。
 そして、ボクはジルを見た。
 ボクの身体が震え上がる。

「どうして君が……」

 ボクの頭が混乱する。

「ああん?なんだテメェ」

 ジルがボクを睨む。

「やめておけジル」

 ジャキが止める。
 ジャキはボクをひと目見たとき思い出す。
 自分がボクになにをしていたのかを……
 今になって思う。
 酷いことをしたと。
 それは、ボクが射殺されたとき感じた思い。
 それを思い出した。

「なんだ?ジャキ!
 お前コイツの知り合――」

 ジルが、そこまで言いかけたときデスペルがジルの頭にチョップをした。

「うるさいぞジル」

「なんだよ!親父!お前までコイツの――」

 デスペルが再びジルの頭にチョップする。

「灰児、あえて聞くがここはテオスの基地じゃないのか?」

 すると灰児がため息混じりに言った。

「なんだそれ?俺らは――」

 灰児がそこまで言いかけたとき大鎌を構える。
 するとデスペルも大剣を構える。

 そして、大きく後退する。

「ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ」

 老人の笑い声がこだまする。

「何者だ!貴様!」

 デスペルが、そういってなにもない空間に剣圧をぶつける。
 するとボクにも見知った老人の姿が見える。

「フィサフィーさん?」

 ボクが、そういうと老人が笑う。

「そうじゃ、フィサフィーじゃよ。
 ボク、迎えに来たぞ」

「え?」

 フィサフィーの言葉にボクは驚く。

「ワシとともに来い」

 ボクの前に新一と裕也が前に出る。

「お前のところにボクは渡さない」

「ククククク。
 なにタダとは言わん。
 主を苦しめたジル、ベラ、ジャキ。
 この3人を殺してやろう」

 フィサフィーがそういうとジルが睨む。

「ああん!
 お前みたいな爺さんに殺されるかってぇの!」

 ジルが刀を召喚し構える。

「クククク。
 相変わらず口だけは達者だの」

「相変わらず……?」

 ジャキが記憶を探る。
 どう探してもフィサフィーとジルの接点が見つからない。
 もちろん自分もだ。

「ふぉふぉふぉ。
 こちらでは、はじめまして……じゃな。
 ジャキ、ベルとは」

 フィサフィーは嬉しそうに笑う。

「俺もお前なんか知らねぇぞ!」

 ジルがそういうとフィサフィーは笑いながら答える。

「こちらの世界ではのぅ。
 初めましてじゃのぅ」

「……こちらの世界?」

 ジルが首を傾げる。

「ふぉふぉふぉ。
 こちらの世界じゃ。
 まぁ、どっちでもいい。
 主は死ぬんじゃ、ボクの手によってな!」

「え?ボクが……?」

 ボクにもフィサフィーがなにを言っているかわからない。

「まぁ、お楽しみはこれからじゃて」

 フィサフィーが、姿を消す。
 するとボクの後ろに移動していた。

「な!」

 新一と裕也が振り向こうとした瞬間。
 威圧的な風により吹き飛ばされる。

「く!」

 灰児は、なんとかその風に耐える。
 デスペルもまた耐える。

「なんだテメェは!」

「フィサフィじゃよ。
 ジル」

 フィサフィーがそういってボクに刀をもたせた。

「え?」

「さぁ、その刀でジルの胸を刺すのじゃ」

「どうして?」

「主は殺したいほど憎んでいるのじゃろう?
 ジルのことを」

「そんな」

 ボクは戸惑う。

「いいんじゃよ。
 殺しても、どうせこの世界でも虐めるぞ?
 あやつは……主のことを」

 フィサフィーが、そういうとボクはそんな気になってきた。

「ダメだ!ボク!そいつの言葉に耳を貸すな!」

 灰児が叫ぶ。

「え?あ……うん」

 ボクは、うなずくとフィサフィーがボクの頭を撫でる。

「今は殺したくないのならいい。
 なら、ワシとともに行くぞ?」

「どこにですか?」

「咎人の集う街へじゃ」

 そして次の瞬間。
 フィサフィーとボクの姿は消えていた。

「くそ!完全に油断した!」

 灰児が、大鎌を地面に突き刺した。

「大丈夫?新一。裕也……」

 ピノが震えながら尋ねる。

「ああ。大丈夫だよ」

 裕也が小さく笑う。

「これは参りましたね……
 まさか、テオスの幹部。
 フィサフィーにさらわれるとは……」

 新一が頭を抑えてふさぎ込む。

 世界は丸く。
 そして、いつだって残酷だった。

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