13
ボクは逃げる。
どこに逃げればいいかはわからない。
詩空孤児院?
それさえも知らない。
それさえもわからない。
ただ走る。
全力で走る。
モンスターが追ってくる。
恐ろしいモンスターが追ってくる。
前に少年が立っている。
こちらを見ている。
歳は、15、16歳。
その少年も銃を構える。
また撃たれる。
そう思ったボクは、銃声と共に目を閉じる。
そして――
目を開ける。
周りは血の海になっていた。
しかし、ボクは無傷だった。
銃弾に当たったのは、モンスターたちの方だった。
「え?」
「どうした?
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているぞ?」
聞いたことのある言葉にボクは動揺する。
「って、待て。
弾に当たってないよな?」
少年が、ボクに近づき身体をチェックする。
「……当たってないです」
「そっか。
よかった」
少年が小さく笑う。
「あの貴方は僕を殺しませんか?」
ボクは、怖かったこれ以上傷つけるのも誰かを巻き込むのも……
「不思議なことを聞くんだな君は。
俺は、お前のような子どもを助けに来たんだ。
人間コレクターによって誘拐された子どもだろ?君も」
「うん」
「よかったら案内してくれ。
館の場所を……」
「あ、はい」
ボクは、走ってきた道を戻る。
なぜだろう?拒否することも出来た。
でも、タマさんのことが心配だった。
あと13のことも気になる。
この人は信用できると思った。
「よし!いい子だ。
俺の名前は、稲妻 座来栖(ザクルス)だ。」
「稲妻さん?」
「座来栖でいい」
「はい、座来栖さん。
こっちです」
座来栖は、案内する。
襲い掛かってくるモンスターたちは座来栖が倒した。
一撃必殺。
それが、座来栖の実力だった。