第二十話
「お腹が満たされたから、次はからだを清めるわよ。」
「「それって、一緒にお風呂でチョメチョメってこと?」」
さすがに同時即時反応した大悟と桃羅。
「神界ではメイドが一緒に入浴するのが普通なのよ。馬なんだから、別に一緒でも問題ないわ。さあ、アタシをお風呂場に案内しなさい。」
楡浬は目を伏せてながら、強引に大悟の手を引っ張る。
「オヨメちゃんやめてよ。モモでさえ、そんな羞恥プレイはしたことないよ。これからするけど。」
大慌てで服を脱ぎ始めた桃羅。
「やめろ、桃羅。オレは冷静だ。」
自分の気持ちを鎮めようとする大悟であったが、荒れてきた波は簡単には戻らない。
(まさか、本当に連れていくのか。)
楡浬はなぜか顔を赤らめていた。
「どうして、からだが熱いのかしら。」
熱の発信源を脳内リサーチすると、からだの末端がヒット。
(男子と手を繋いでる。それもアタシの方から。)
楡浬の手がさらに熱くなっていた。
手という呪縛で結ばれた楡浬と大悟は、脱衣場に到着していた。
「こんなところで、オレの目の前で服を脱いでいいのかよ?」
「こんなところじゃないわよ。お風呂場はからだを清める神聖な場所。ここではいかなる邪念も払われるわ。」
「そ、そうなのか。それならいいけど。」
白いワンピースの背中に手を伸ばすが、ファスナーに届かない楡浬。
「ちょっと、ぼさっとしないで、手を貸しなさいよ。」
「いいのか?わかったよ。これは命令で、オレはそれに従うだけなんだからな。」
大悟は恐る恐るファスナーを引っ張った。
「じゃあ、服を脱がせなさいよ。」
「ああ。ごくん。」
実に喉ごしのいい、唾の嚥下。
大悟は楡浬の肩に手をかけて、背中の上部が見えてきた。
大悟の心臓が急激に活発化して、からだが揺れてきた。それは楡浬の心臓の鼓動も異常になっていたからであった。
『ドクン、ドクン。ドクン、ドクン。』
見事なハーモニーを奏でる心臓音。このままでは破裂しそうである。
大悟は楡浬のワンピースを腰まで下ろした!
「もういいわ。後はアタシがやるから、馬嫁はこれを付けなさいよ。」
アイマスクを付けた大悟。マスクのぱっちり目が気持ち悪い。
視界を失って少し冷静になった大悟。
(女の子の背中って、こんなにか細いんだ。守ってやりたい)と思っていた。