蛹
満月の夜を三日後に控えて、異変は訪れた。
月にばかり夢中だった少女が、四郎に目を移したのだ。
こんなことは、今まで一度も無かったのに。ことある毎に、四郎の身体に触れようとしてくる。
まるで、女が男を誘うように……。
頬を両手で包まれ、熱っぽい視線を向けられると、いよいよ我慢ができなくなる。
四郎は少女の青白く華奢な肢体に喰らい付くと、欲望のままに貪った。
初めて聞いた少女の声は甘く、心地良く、耳を擽った。
翌朝。
近くに少女の姿が見えず、探すと、籠の角に繭が出来ていた。
白い繭はやがて、茶褐色の蛹へと姿を変えた。
時折大きなうねりを上げる蛹。
得体の知れない生命の蠢きに、言い表しようの無い高揚感を覚える。
こんな気持ちは初めてだ。
恐怖か、期待か、もう何もわからない。
四郎は正気を失っていた。
蛹は肥大を続け、胎動を激しくさせていく。
もうすぐ、もうすぐだ。
異変に気づいた屋敷の人間が、蛹を破壊しようと何人もやって来たが、
その度にピストルで胸を打ち抜き、庭に埋めてしまった。