その後
「魔王様ー!」
遠くから私を呼ぶ女性の声が聞こえた。
私はそっちに目を向けると、他の部下達を引き連れたホロウとキョウ、メアの姿があった。
数分前に私は魔王城の側近達に救援要請を送っていたから、それで来たのだろう。
ホロウは顔はないけど、声で血相を変えてるのが分かる様子で駆けて来た。
「だ、だだだだだだ大丈夫ですかま、魔王様!? そ、颯太さんが瀕死の重体にな、なななれたよー!」
「一旦落ち着いてホロウ。大丈夫。その件はもう済んだから」
宥める様に私が言うと、キョトンと鎧を傾げるホロウを他所に。
私は、私の膝で寝ている颯ちゃんの頭を優しく撫でる。
子供の様な、可愛げな寝息を吐きながら、体を上下に揺らしながら、気持ちよさそうに寝てる颯ちゃん。
颯ちゃんの体には、先ほどまで負っていた傷もなく、身体も正常に動いている。
颯ちゃんは完全に一命を取り留め、今はただ疲労でゆっくり寝ていた。
そんな颯ちゃんに私は、クスリと笑って今後の未来に胸を躍らせ、ただ一言呟いた。
「これからよろしくね、|私の大切な人《颯ちゃん》」
寝言なのか、私の言葉に「んん~」と返事をした。