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シャンバラの女皇

「石田君、お久しぶりね」

 シャンバラの女皇(ジョウオウ)が玉座から石田三成たちを見下ろしていた。
 黄金の王冠に白いドレスのようなものをまとっていた。
 そこは地下王国<シャンバラ>の支配者である火星人の子孫が住んでいるピラミッドの中であった。
 
「……アリサさん、あなたがシャンバラの女皇?」

 三成はあまりのことに二の句が継げなかった。

「怪しいと思っていたが、あんたが女皇とはな……」

 流石の情報通の真田幸村も全く予想外の人物の登場だったらしい。
 叡智大学心理学部の本多正信教授の教え子のひとりがアリサであり、三成と幸村は熊本地震のボランティアで彼女に会っていた。

「しかし、火星人の子孫といっても地球人と変わりないな」

 幸村は実質的なこの地球の支配者であるシャンバラの女皇を前にしても、全く物怖じしていなかった。

「何億年もの時が経ってるし、地球人とは混血が進んでいるわ」

「―――やっぱり、やめた。女は斬れないな」

 幸村の漆黒の背中に鮮やかな真紅の鞘に収められた刀が現れた。
 ステルスソード、透過迷彩の忍び刀である。
 おそらく、信長からシャンバラの女皇暗殺の密命を受けていたのだろう。

「助かるわ。私もあなたを殺したくないわ」 

 にっこりと笑う。

「怖い女だな」

 幸村も不敵な笑みを浮かべた。

「さて、あなたたちをここに呼んだのは訳があるわ。一緒に火星に行ってもらいたいの」 

「どうやって?」

 幸村が興味深そうに問うた。

「ワープゲートがあるわ。ステラ、彼らを案内して」

 かつてグリーンステラと呼ばれたアンドロイドが現れた。
 
 

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