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二人の出会い

私、中野彩楓は、まるで恋をするために生まれてきたような女の子かもしれない。一度も叶ったことはないが。小学校の時に、隣の席の西川君を好きになった。これははしかのようなものかもしれない。中学校の時に、戸枝くんを好きなったものの、結局3年間言い出せずそのまま高校は別々になった。そう。私は恋をするも、結局言い出せない勇気のない女の子なのだ。

無事志望校に受かった。ほっと胸をなでおろす。俺、加賀見晴翔は、関東国立大学附属高等学校にに合格した。公立の高校の最難関。ここの入学試験は何回を極めるらしい。俺の兄が言うには、いったん入学すると、部活も特に強制的に入らせられるわけではない。ある程度時間にも余裕があり、上位者は遊んでいる者もいるらしい。すると、横で160cm台の女の子がピョンピョン飛び跳ねている。前には180以上はある屈強な男子が並んでいるためであろう。かくいう俺も181あるので十分高い部類だとは思う。俺はその子に向かって、
「君。どうしたの?」
と尋ねた。

「君。どうしたの?」
と言う声が聞こえた。私はその声のした方に向き、
「見えないんです」
と言った。その男性は、
「何番?」
と尋ねてくる。私は、
「369番です」
と答える。彼は小さくうなずいて、合格発表の紙が貼り出さている方を見ると、軽く背伸びをして、
「369・・369・・あった。今日からよろしく」
と言った。やった。合格したんだ。私は、
「ありがとうございました」
と言う。彼は、
「合格しててよかったじゃない。んじゃ」
と言って去ってしまう。名前聞いておけばよかったな。私はなんとなくそう思った。

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