兼藤健資の決断
俺は、今日、あいつの告白への答えを告げる。
日曜日、私は意気揚々と出かけた。ところが、一つ大事なことを忘れていた。
「私。先輩の家知らない・・・・」
そうつぶやく私の声が、一体どれほどの人に聞こえただろう。住所聞いてなかった。とりあえずスマートフォンを取り出し、先輩にLINEを送る。
「ん?・・・・・・あ。教えるの忘れてた」
と言う俺の声が誰もいないリビングに響く。真心から送られてきたLINEは、
《先輩の住所知りません。最寄りの駅教えてください》
と言う内容だった。俺は返信する。
《東京都稲城市大丸2丁目1番1号。兼藤亨彦と言う表札がかかってる家》
と送った。教えときゃよかった。
それから小一時間。やっとインターフォンが鳴る。玄関扉を開けると、真心がいた。真心が、
「こんにちは。お邪魔します」
と言う。はいはいどうぞおあがりください。
「で、話って何ですか?」
と真心が言う。早速ですか。俺は頭を手で搔きながら、
「ああ・・・この前の告白の事なんだが」
と言う。真心が身を乗り出し、
「それで、お返事は?」
と言う。俺は、
「・・・いいよ。俺もお前が・・・・真心が、好きだから」
と言う。やっと言えた。真心が俺に思い切り抱きついて、
「大好き大好き大好き・・・・・・・」
と言いながら泣いている。これで、俺の逃避行?は終わった。