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障壁

発見場所に言った翌日、県警本部第二庁舎3階。特殊殺人事案総合捜査対策室には、晃史、藏崎警部補、晴柀巡査、国東弁護士が集結していた。晴柀巡査がホワイトボードを指し示しこう言う。
「隠し扉はだれでも開けられました。外側からも。鍵などもなく、誰かが気づいてしまえばすぐに開けられるような代物でした。追加で、被害者の身元が判明しました。外河崎法元。79歳。髙澤市内の浄土宗悟真寺の住職。先週金曜日に行方不明届が出されていました。稲佐警察署に問い合わせたところ、管轄は刑事部行方不明者管理課になっていました」
国東弁護士がそれにこう言う。
「では、その行方不明者管理課に問い合わせればいいのでは?」
藏崎弁護士がそれに答える。
「勿論問い合わせましたが、全員出払っているということでなかなか連絡が取れません」
晃史はそれに対しこう言ってみる。
「その課に直接行けばいいじゃないですか」
藏崎警部補が一瞬考えるような表情を見せるが、すぐに首を振る。
「そうしたいですが、この本部のどこに部屋があるか、誰も知らないんです。刑事部長も知らないそうです。刑事部の管轄になっていますが、本部長直轄だそうです。行方不明者管理課の課長は寺崎悠一警視正。42歳。そっちの腰巾着の警部にもあたりましたが、口を割ってくれません」
困ったようにそう言うので、晃史はこう返す。
「稲佐警察署に資料くらい残ってないのか」

「残ってないんですか!?なんで」
藏崎警部補が大声を上げる。相手をしている刑事官も大変である。刑事官はこう返す。
「本部の行方不明者管理課の奴らがコピーした資料やら、全部かっさらっていったんです!仕事が減っていいじゃないかと署長が・・・・」
ここの署長は警察庁から出向してきた若手である。その署長にもあたってみる。
稲佐警察署署長、久遠賢治警視はこう言った。
「だって間違ってないでしょ。本部の人たちがやってくれるんだったらいいし」
こりゃ課の連中に直接あたるしかないか。

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