魔法とは#7
そう女の人が言った。魔法というのは俺が一番楽しみにしていたファンタジー要素だ。俺は興奮と期待で心臓を少し過剰に動かしながら女の人の説明を待つ。
きた。少し時間が経つと赤の字で火属性・青の字で水属性・茶色で土属性・白で無属性と横ならびに表示された。
「まずは魔法の分類についてです」
「この世界では火属性・水属性・土属性・無属性、と魔法は四種類に分類されています。字の通り火属性は火に関係した魔法となっています」
「このように無属性以外は字の通りです。無属性とは三属性の中に入らない魔法をさします。無属性のもっともポピュラーな魔法は光の球《リュミーレボール》です。補足させてもらうと、RPGなどにありがちな雷攻撃ですが、この世界ではまだありません」
「次は魔法師の格好についてです」
そう音声が流れると十人中九人がこれをみたら「魔法使いだ」と答えそうな格好のおっさんの絵が画面に表示された。とんがり帽子とローブを着て杖を持っている姿のアレだ。
「魔法師すなわち魔法使いというと一般的にはこのような格好を想像しますが、この世界ではこのような格好をしていません」
そう、女の声が流れるとすぐにエルフ族が杖を持っていて、短剣を腰に挿している画像に変わった。
「これが一般的な魔法師の格好です。杖の先端には魔石がついておりその魔石が持っているものが魔法を使う前に魔を増幅させ、制御を簡単にします」
「なぜ、短剣を挿しているかというと、魔法師はもしも接近されたときのために接近された状態でも攻撃できるよう腰には短剣を挿す。ということをしているのです」
「次は魔法の発動の仕方です」
そう、音声が流れると今度表示された画像は杖を持ったエルフ族の少女が二人、右の方は口が開いており、普通のふきだしに○○△△と書かれていて、左の方は口が閉じていてモコモコとした感じのふきだしで○○△△と書かれているものだった。
そういえば眠いな。俺がそんなことを思っていても動画は容赦なく流れていた。
「魔法の発動の仕方には二パターンあります。一つ目は右の少女のようにに普通に詠唱するパターンです。二つ目はエルフ族しか知りませんが、心の中で声をだし、詠唱する方法です」
「一見すると二つ目をしても意味が無いように思いますが、意味があります。まず、一つ目の利点は相手に使う魔法を悟られることがほぼ無いということでしょう」
「詠唱をおこなうと他の魔法師に気づかれて何の魔法が来るのか前衛の人に教えられたり、その魔法を無意味にするような魔法を発動する準備を始められる可能性がありますが、無詠唱はその心配はありません」
「二つ目は慣れれば圧倒的に有声詠唱より速く魔法を発動させることができると言う点です。これだけだと詠唱するのに意味が無いように感じられますが、声をだして詠唱をするのにも利点があります。まだこの世界の人は知りませんが声を出し詠唱をおこなうと少しだけ威力が強くなったり、魔法が制御しやすくなるということです」
「魔法はどちらで発動するにせよ暗記とイメージが必要です。イメージが何で必要なのかというと、イメージにはどこに、どれだけの大きさで、どれだけの威力で飛ばすかを決定する役目があります。大事な詠唱文の暗記ですが、あなたはこのデバイスのおかげで暗記はしなくても大丈夫です」
「なぜか、というとギャラリーに詠唱文が書いてある紙の画像が入っているので、ギャラリーにて魔法名や、魔法の特徴などで検索をすればでてきますので、それを開き、見ながら詠唱をすることができるからです」
「次はオリジナル魔法についてです」
そう音声が流れると今度は雷が地面に落ちている絵になった。それにしてもオリジナル魔法ってなんだろうなと俺があくびしながら思っているとすぐに音声が流れた。
「オリジナル魔法というのは自分だけで創れる魔法のことです。この世界の人はまったく気づいていないのですが、作りたい魔法のイメージをしながらそのイメージに沿っており、かつその規模に見合った文の量にして詠唱文を考えるとその魔法、もしくは似た魔法が魔のネットワークに保存されます」
「次からは魔のネットワークに記録してあるため、新たな魔法の行使が可能になるのです。ちなみに神は『この世界のものは挑戦や試行錯誤というものを知らないのか、つまらん』と仰っていました。もしかしたらこれもあなたを転移させたきっかけの一つかもしれません」
「次・魔・・・」
俺がする運動といえば手を抜いている体育の授業だけだったのだ。それなのにエルフ族の少女に魔法で作られた球にビビッて全力疾走したりさせられれば身体的疲労を深く負いう。
しかも攻撃されたら死ぬという恐怖のなかで草原を走ったりして、俺は精神的疲労も深く負っていたので眠い。これまで我慢していたのだが、ついに眠ってしまった。