入れてあげるよ!
あれから俺は、旧校舎でギターをかき鳴らしながら討伐のパーティについて考えていた。
あのクソハーレム軍団の中に入るなんてことになったらと思うと落ち着かない落ち着かない。
だってね。
もうね。
恐怖しかないの。
主なメンバーは幼馴染み、王女、元奴隷、貴族のお嬢様、しかもそれぞれで牽制しあい、これ以上増えないように少しでも新しい女が近づこうものなら、裏から表から全力で排除。
なのに馬鹿男は気づかないで、たまに女の子ひっかけては落としてそのまま放置。
その後、その恋心は実るどころか土ごと種を彼女達に抉り取られる始末。
しかもなぜか同じクラスの男子どもはやたらとつっかかる割には、まぁしょうがないよなっ!みたいな雰囲気で眺めてるし。
そんなわけわかめなやつらとパーティ遠征。
無理無理無理無理。
ヤダヤダヤダヤダ。
関わりたくないでござる。
はぁ。
あんまし考えてもしょうがないし、当日まで引っ張って無理やり1人で遠征すればいいかな。
ダメかな。
ああああああああめんどくせえええええええ!!!!
とりあえず仕事しよ……。
確か今日は図書館の棚の整理の日だよな。なんて考えながら俺はギターをしまい、旧校舎から外に出た。
*****
図書館の仕事って地味に力仕事が多いからキツイわぁ。盗難防止のために魔力使えないようになってるし、純粋な筋力のみでやるから結構鍛えられてる感あって嫌いじゃないんだけどね。
とか考えながら飯を食ってると、突然テーブルの向かいに人が座った。
俺は顔を上げずに
「あーすまんね。後五分ほどで食い終わるから。そしたら席立つから」
そう言うと目の前の人が、
「君がパスト君だね!僕は同じクラスでクラス長をしてるチェニック!実は先生から今度の遠征試験で君を同じパーティに入れてあげてほしいと頼まれてね!それで探してたんだ!この時間は仕事上がりにここで夕食を食べていると街の人に聞いてね!君は学園ではあまり目立たないようだけど街では有名なんだってね!いろんな仕事を引き受けてくれてすごく頼りになるそうじゃないか!学園でも同じようにすればいいのに!ああ、やっぱ仕事と学園生活じゃ雰囲気が違うからやりにくいのかな?大丈夫!僕も友達が欲しいんだ!だから僕が友達になって上げる!パーティにも入れて上げるよ!遠征一緒に頑張ろうね!それじゃ!」
そう言い切った後、馬鹿男はすぐに立ち上がり店を後にした。
「…………………………」
「なんだあいつ!なんだあいつ!!なんだあいつ!!!何様だ!!俺の至福の時間を邪魔しやがったどころか上から目線で友達になって上げるだとおおおおお!!!!!学園では目立たない?あたりめえだよ学園には勉強しに行ってるからおめえらみたいに遊んでる暇なんかねえんだよ!!!!つか頼まれたから遠征のパーティに入れてあげるだ?誰がてめえのクソハーレムパーティに入るか!!!!決めたぞ!!!!俺は絶対一人でやってやるからな!!!!一人で遠征試験史上最高点叩き出してやるわあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「うるせええええええええ黙って食ええええ!!!!!」
「さあせええええええええん!!!!!」
あああああああああくそがあああああああああ!!!!!
ダメだ、どうしても腹の虫が治らねえ。
こうなったら……
というわけで旧校舎!
やっぱり俺の癒しはここだよね。とりあえずなにも考えたくないので、ピアノ弾いて忘れよう。