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大栄博物

20014年、ロンドン、その日、市内は大雨が降っていた。

時折、雷が轟音を響かせていた。

北から不気味な黒い雲が移動していた 。

その雲は意思を持っていた。

空を見上げる通行人は、不気味な雲を見て、なんだあの雲は、と多くの通行人が思ったが、

まさかこの雲に意思があるとは思はなかった。

雲は大英博物館に向かっていた。

そして、博物館につくと、雲は止まりながら渦を巻いていた。

博物館めがけて、雲から一条の雷が博物館に落ちた。

だが、何も起きなかった。

しかし、もしも、この雷をまじかで見 る人がいたら、見えていただろう。

雷が、様々な悲痛な顔をした塊であったということに。

上空の黒い雲から、人には聞こえない悲痛な叫びがこだました。

雲は、また西に移動した。

博物館は広く、24時間監視カメラが動いていた。

警備室で、モニターを見ていた白人のスティーブは大きなあくびをした。

交代するはずの、ジョンソンがいまだに来ないのだ。

スティブは苛々しながらマイクで 、ジョンソンを呼んだ。

だが、返答はなかった。

一人のカードマンが、ちょうど差し入れを持ってきた。

スティーブは言う。

「交代するはずの、ジョンソンが来ねぇ」

もう一人のガードマンは言う。

「何かあったのかな?」

スティーブは手を振りながら「いや、 そんなんじゃねえな、また寝ているんだろう」

と言った。

スティーブは、白人で、身長が173 センチ、体重が、73キロ、年齢は、 42歳、

顔つきは、渋くなかなかのハンサムだ った。

スティーブは言う。

「すまねぇ、ちょっと見ていてくれ 、アイツを起こしてくる。」

といって、ドアを開けて、起こしに行 った。

通路を歩いているうちに、ジョンソンの部屋に到着した。

スティーブは部屋を3回ノックしたが 、応答はなかった。

仕方なく、スティーブは部屋を開ける 。

中は真っ暗だった。通路のスイッチを 押すと部屋の蛍光灯が光った。

部屋は左の奥にジョンソンが寝ている ベットがあり、右側に換気扇と煙草を 捨てる、

赤い大きな缶があった。スティーブは 換気扇をつけると、

タバコを胸のポケットから取り出して 、タバコを一本吸った。

「ふー」

スティーブは寝ているジョンソンの肩 をつかんで、揺さぶって起こそうとし た。

「ジョンソン、おい、起きろ、ジョン ソン」

ジョンソンはシーツを首までかけなが ら言う。

「んーもう少し、もう少しだけ寝かせ てくれ」

スティーブの怒りは頂点に達した。思 わず、こぶしで、軽くジョンソンの腹 をたたいた。

ジョンソンは腹を抱えながら、起き上 がり言う。

「いてえな、何すんだよ、いったい」

スティーブはそんなジョンソンを冷た く見ながら低い声で言った。

「ジョンソン、お目覚めか、ずいぶん 長く寝ていたな」

それを聞いたジョンソンはわざとらし く笑っていった。

「ふぁー、スティーブ、今何時だ」ス ティブは言う。

「今、12時半を過ぎたところだ」

ジョンソンは、寝ぼけながら言った。

「すまんな、スティーブ、30分以上 遅刻しちまったな」

スティーブはタバコをふかせながら言 う。

「頼むぜ、ジョンソン」

今日、ジョンソンは仕事の日ではなか った。仕事に来るはずだったダイアン というと言う

中年の男性が、来る予定だった。

だが、ダイアンは、3日前、交通事故 を起こして、3か月、入院していて代 役として、

仕事に入ったのだった。

ジョンソンは、タバコを吸っているス ティーブを見て、

もう我慢できないといった顔をして、 スティーブに言う。

「なぁ、スティーブ、悪いが俺にも一 本くれないか」

スティーブは呆れた顔をしながら一本 渡し、火をつけた。

「お前、やめたんじゃなかったのか、 まだ、1週間ぐらいだろ」

ジョンソンは頭をかきながら言った。

「いや、あれだな、やっぱり駄目だっ たよ。これ以上やめると、頭が痛くな る」

二人はしばらく無言だった。

ジョンソンが沈黙を破る。

「ところで、スティーブ、あの話どう 思う」

スティーブは、目を鋭くしながら言っ た。

「まあ、本当かどうかわからんが、ダ イアンが嘘をついているとは余り思え んな」

ジョンソンは、「ああ、確かにな」と 言った。


ダイアンは3日前、博物館に入ってき た、呪いの人形にたいしてこんなこと を言っていた。

「しかし、不気味な人形だねーこいつ 気持ち悪いな」

この人形の名を「イエズラ」と言った 。この人形には悪いうわさがあった。

この人形を手に入れた、様々な人が、 奇怪な死を遂げていたからだ。

しかし、ダイアンは、そんなことを信 じずに、言っていた、だが、

この時点では誰もわからになかった、 この人形の本当の正体を。

3日前、仕事を終えた、ダイアンは、 自販機で、コーヒーを買って飲みなが ら、警備室の

ガードマンたちに帰る挨拶をしていた 。

「よう、お疲れさん、また明日な」

ガードマンの人のが言った。

「おい、ダイアン、お前大丈夫か」

ダイアンは何のことかと聞いた。

「お前、散々あの人形の悪口を言って いたろう、そのうち呪われるぞ」

ダイアンは、大笑いをしながら言った 。

「お前まで、あの噂を本当に信じてる のかよ、バカだな、あんなのはただの 噂だよ、

呪いたきゃ、呪ってもらおうじゃねえ か、ばかばかしい、俺は帰るぞ、お疲 れさん」

と言って、朝の6時ごろ博物館を後に した。歩くこと10数分、大きな十字 路の交差点で、

青の信号を待っていた。そして信号が 変わり、道の真ん中で、ダイアンはい きなり右足を

誰かに掴まれた。その時、ダイアンは 一人だった。心臓が冷たくなり、恐怖 が走った。

確かに誰かが、足をつかんでいる。ダ イアンは恐る恐る右足を見た。

声にならない悲鳴がこだまする。

アスファルトから白い手が、出現して 、足をつかんでいるのだ。

そして、ゆっくりとそれは出現した。

白い肌に、頭にいばらの冠をつけて、 目には血を流し、ドレスを着た、

あの人形が姿を現した。

人形は、左手で、赤で止まっていた、 青い車を見ろと指差した。

青い車をダイアンが見ると、女性の運 転手は気絶をしているようだった。

そして、信号が変わってもいないのに 、車が少しずつ、ダイアンめがけて発 信してきた。

ダイアンは気がおかしくなりそうだっ た。自分は今日死ぬとダイアンは思っ た。

その時、上空から七色の光が、ダイア ンめがけて飛んできた。

七色の光は言う。

「まだ、間に合う」

ダイアンが車に引かれるよりも一歩早 く、七色の光が包み込んだ。

ダイアンは車と衝突して、5メートル ほど吹き飛んだ。

たまたま、通りかかった一人の男の通 行人が、急いで、ケータイで救急車と 警察に、

通報した。

青い自動車はひき逃げをしていった。 通行人はもう助からないと思ったが、

速足で駆けつけて、ダイアンを安全な 場所まで救護した。

通行人が言う。

「おい、きみ、大丈夫か、きみ」

ダイアンは言った。

「だ、大丈夫だ、とりあえず生きてる よ」

それでも、肋骨が2本折れていた。

イエズラは憎しみ、怒りながら言った 。

「ぬー、あと一歩であったのに、貴様 、何者だ。」

七色の光は、人の姿になって答えた。

「呪いの人形よ、残念だったな、私の 名前は、ルドルフ・シュタイナーだ」

イエズラは、憎しみを込めていった。

「光の霊か、おのれ、次はこうはいか ぬぞ」

そういい、アスファルトに消えていっ た。

シュタイナーも、消えていく。

3日前の出来事であった。

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