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ならば、〈悪使い〉と天使の溝を埋めることだって、やってのけるのではないだろうか?
相容れない二つの存在が交われば、神であっても想像できないようなことが起こると踏んで、この邂逅があったとすれば、
「考えても、意味はないか」
天使はひとつ息をつき、〈悪使い〉と〈悪堕ち〉が激突する地点へ目を向ける。上空から見ると、広がる森の向こうに草原と石製城壁が視認できた。
おそらく、森と草原の境界付近が戦いの場となるだろう。アンブシュールからある程度の距離があり、森の中のような障害物もない。戦うにはちょうどいい場所だ。
大きな被害が生じることは、まずない。天使が悩むべきは、〈悪堕ち〉の近くに天使以外の存在──特に人間を送ってしまったことによる、降格の危険性だった。