第6話
春樹は、3人から、この世界について説明を受け、自分の素性について、彼らに説明した。
「それでしたら、貴方が神子という可能性もありますね」
コウキの言葉に他の2人も頷くが、春樹だけは、否定の言葉を口にした。
「俺が神子の訳がないだろ。絵を描く事以外はなんの取り柄もない俺が、平和をもたらす存在なわけがない」
神子とは、平和をもたらし、世界の浄化を行う存在らしい。いるだけで、国に幸せをもたらす。いわゆる、チートのような存在だ。
自分が神様的な存在なんて、ありえない。俺は普通がいい。出来れば元の世界に帰りたい。誰にも迷惑をかけず過ごしていける、あのアトリエに。
しんみりしてしまった空気を変えるように、コウリンが言った。
「まっ、何はともあれ、これからよろしくな、ハルキ」
コウリンに続くように、2人からも言葉をかけられた。
「よろしくお願いします。ハルキ」
「オレ様とよろしくしたくないとは、言わねぇよな。ハルキ」
春樹の世界に入りこんで来た、3人の青年。内心、迷惑という気持ちはあったが、それ以上に何故か、温かい気持ちなっていた。
「よろしくしないとは、言ってない。まぁ、ここで働くから仕方ない。これからよろしくな。コウ、コウキ、コウリン」
春樹の素直じゃない言葉に、3人は、笑いをこらえきれず、腹を抱えて笑ったのだった。