『僕の幸福論』
「ツギクル、アナリティクスにアクセス!
接続が完了したら、アクティブユーザーを確認だ!」
「よしっ! いい調子だぞ!
それじゃあ、今日も力強く……!」
「Go! 『S:I:R:E:N』! Wake up!」
「やぁ、おかえりPuzzler!
今回は謎解きアプリ『S:I:R:E:N』の
支援ユニット、優希:05と……。」
「沙麗那:04が、とびっきりの謎を
お届けするわね♪」
「あら……ニューロンチェッキングプログラムが、
極少数のPuzzlerから、支援ユニットの交換、
切り替えを望むマイナス感情を検出?」
「ねぇ、沙麗那……それって、どういう意味?」
「ふふっ、ようするに……。
神楽や美琴じゃなくてガッカリしている
Puzzlerがいるってことよ。」
「そっかぁ、それは悪いことをしたね……。」
「なに言ってるの!
こういう時こそ、ご奉仕でしょ♪」
「ちょっと! 沙麗那!
どうしてボクの太もも触ってんのさ!」
「イイから……お姉さんの言う通りにして?」
「も、もう! ダメだってば!
ほら、Puzzlerも困ってるじゃないか!」
「そう? ニューロンチェッキングプログラムは、
強い期待の感情を検出してるけど……。」
「だからって、服の中に手をいれないでよ!
ったく……そろそろ、
謎解きバトルモードに移行するからね!」
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Title:『僕の幸福論』
「すみませーん!」
ファーストフード店のカウンターで店員を呼ぶ。
しかし、誰も呼び声に気づかない。
「なんなんだよ……」
悪態をつきカウンターを蹴飛ばすと、一瞬店員が振り返る。
「やっとかよ!」と声を弾ませるが、
店員はすぐに元の業務に戻ってしまった。
「……マジか。
ったく、車で事故に遭うわ病院に運ばれるわ、
最近やけについてねえな。
くそっ……今日は事故った日に販売が始まった、
ハワイアングリルバーガーがどーしても食いたいのによぉ!」
カウンター前で右往左往し、ぶつくさ呟いていると、
「わたしが注文しましょうか?」
アイドル顔負けの美少女が声をかけてくれた。
「えっ、いいの?」
「どうしても食べたいんでしょ?」
「じゃ、お言葉に甘えて……」
「待ってて、すぐに戻るから」
少女は薄く微笑みながらカウンターに向かい、
透き通るような声でオーダーを通してくれた。
「そうだ、いっしょに食べましょうか?」
「迷惑じゃなければ……」
嫌なことがあった後は、いいことがあるもんだ。
俺はニコニコ顔で彼女の隣に並んだ。
すると、すぐ傍にいた客達の視線が彼女に注がれた。
「なんか……すっげー見られてるね」
「平気、こういうの小さい頃から慣れてるから」
「ははっ、やっぱ綺麗な子は違うね」
誰もが振り返るほどの美少女と、突然のデート。
俺……始まったかも!
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「はい、これで出題完了よ!
というわけで……さっきの続きしましょうか?
ね、優希♪」
「……優希?」
「あら……逃げちゃったみたい。
じゃあ、私もそろそろ失礼するわね。
また今夜も夢の中で逢いましょう、Puzzler♪」