『夏の朝、早く目覚めたら』
「……ツギクル、アナリティクスにアクセス。
ニューロンチェッキングプログラム、スタート。
リンク、アクティベート。
システム、オールクリア。
うん、いい感じね。」
「それじゃあ、『S:I:R:E:N』起動するわよ。」
「はぁい! Puzzler、沙麗那よ。」
今日の調子はどうかしら?」
「あら? 精神ダイレクトコネクションが複数のPuzzlerから、
否定的な感情を開放するポジティブエナジーと、
性的な興味を通過する感情を検出?」
「もうっ……どこ見てるの?
その熱い眼差しは私じゃなくて謎に……ね?」
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Title:『夏の朝、早く目覚めたら』
「はあ……よく寝た」
8月――。
連日連夜続いた異常極まる超熱帯夜の朝。
俺は久しぶりに、すっきりと目覚めた。
「エアコン壊れて困ってたけど、
けっこー涼しいじゃん」
温度は35度。
どうやら室温計が壊れているらしい。
俺はカーテンをめくり、外の景色を眺めた。
「まだ早いのに、子供は元気だな」
眩い白。
爽やかな色のシャツやワンピースを着た子供達が
陽光に負けない笑顔で走り回っている。
「楽しそうだし、俺も外に出てみよっかな」
俺は俺の隣で眠る彼女の髪に手で触れ、
アパートの外へと向かい、子供達の輪に飛び込んだ。
すると――そこに、
部屋にいるはずの彼女がいた。
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「うふふっ、やっぱり貴方って凄いわね。」
だって、謎が始まる直前は、
興奮している状態を表すγ脳波を放出していたのに、
バトルモードに移行した途端
物事に没頭している状態を表す
α脳波を維持するんだもの。」
「その調子で、次の謎も見事解き明かしてちょうだいね。
じゃあまた、今夜も夢の中で逢いましょう、Puzzler♪」