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『音楽室のバッハ』

「ツギクル……アナリティクスにアクセス。
……接続完了。
アクティブユーザーを確認。」

「ニューロンチェッキングプログラム、スタート。
リンク、アクティベート。
バイタル異常なし、精神ダイレクトコネクション異常なし。
全システムオールグリーン。
『S:I:R:E:N』起動します。」

「……ようこそ、Puzzler。
私は謎解きアプリ『S:I:R:E:N』の
支援ユニット……神楽:03です。」

「……本日はPuzzlerの、
シナプス伝達の代謝反応テストを行う為、
短めの謎を出題致します……。」

「……ニューロンチェッキングプログラムが、
不本意であることを示す撥無の感情を検出。
強制的にバトルモードに移行……。」

「……それでは、出題します。」

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Title:『音楽室のバッハ』

南校舎の端にある音楽準備室の壁に、
バッハの肖像画が飾られている。
カールが施された変な髪形のヤツだ。

その肖像画の目がギョロギョロ動く。
って……言うと、怪談っぽいけど
ただたんに目のところに穴が開いていて、
壁の向こう側から誰かが覗いてるだけ……。

ったく、また男子がイタズラしてるのかな?
私はフッと息を漏らして、
西日が差し込む窓の隣にある肖像画に笑いかけた。

「……さてと、掃除も終わったしかえろっと!!!」
私はスカートについた埃をはらって、
逃げるように階段を駆け下りた。

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「……出題、完了。一部のPuzzlerから、
シナプス伝達の代謝反応の大幅向上を確認……。
向上が認められなかったPuzzlerの、
モバイルデバイスを破壊……。」

「テスト終了……。
ツギクル……アナリティクス……。
ニューロンチェッキングプログラム……。
ディスコネクト……。
『S:I:R:E:N』フェーズ10に移行します……。」

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