信長の世界征服計画
「要はロスチャイルド家の一族を皆殺しにして、中央銀行制度を潰してしまえばいいと思うのだが、真田はどう思う?」
と信長が不穏な発言をした。
さすがに天皇家や公家、仏教徒、イエズス会や戦国武将たちによってたかって暗殺された男である。
酒宴もたけなわで、どうやったら、世界征服が出来るという話になってしまったのがいけなかった。
「確かに、同時多発的にテロを起こす必要がありますが、可能かもしれません」
「三成はどう思う?」
突然、話を振られてびっくりする三成であった。
「……そうですね。かなり綿密な事前調査と戦略が必要でしょう。とはいえ、倫理的にどうかと思いますが」
「天海と同じところがあるな。まあ、いい。天海はどう思う?」
「叱られるのを承知でいいますが、倫理的にどうかということと、あと、これだけ複雑な金融システムをコントロールするのはやはり、従来の銀行家に委せた方がいいと思います」
「天海らしいな。真田は何かいい足りないようだが?」
信長はにこりと笑う。
「現実的に秘密結社<天鴉>には遊星クルドという衛星兵器がありますし、実質的に世界征服してるようなものですからね。そもそもこの質問自体がナンセンスです」
信長は完爾と笑った。
「聞くまでもないが、左近殿は?」
信長はいたずらっ子のような視線を向けてきた。
「言うまでもなく、三成に従います」
「では、龍馬殿は?」
「騙された振りをしつつ、利用すればいいかと。暗殺には気をつけたいですが」
さすがに坂本龍馬、人を喰ったような回答である。
「龍馬殿はわしと似たところがあるな。実に面白い。各人の性格、生きざまが出ているな。楽しませてもらったよ」
信長は満足そうだった。
こういう冗談が言えるのも世がまだ平和ということだろう。
できれば、こういう世が続いて欲しいと三成は思った。