信長
「三成、サルからお前の噂は訊いていた。会うのは初めてだが、できれば、わしと一緒に戦って欲しい。であるが、今日は楽しい酒宴であるから存分に楽しんでくれ」
信長は上機嫌だった。
真田幸村、本多正信など懐かしい、もしくは未知の武将たちが揃ってきたこともあるだろう。
「承知しました。心置きなく楽しませて頂きます」
にこやかに笑いながら信長の言葉を受け流す。
和やかな瞳の奥の光を三成は見逃さなかった。
挨拶はそつなくこなしたが、信長を囲む酒宴からはそっと距離をおいた。
「左近、どう思う?」
「さて、俺にはとんと見当がつかない」
「それはそうだな」
「ただ、一緒に戦ってみたいと思ったよ。武将の性というものだな。許してくれ。三成の決断を尊重するよ」
「そうしてくれるとありがたい」
そうこう言ってるうちに、メガネ君が近寄ってきた。
「三成さんですか? お初にお目にかかります。服部信三郎と申します。通称、メガネとお呼び下さい」
「メガネ君の噂は聞いてるよ。信長さまと一緒に戦ったとか?」
「今の信長さまは優しくなりましたよ」
「そのようですね。私もかなり変わりましたし」
三成は遠目から信長の笑顔を眺めながら一息ついた。
時は流れる。
人も変わっていくのかなと思った。