安土城地下要塞
「つまり、安土城の地上部分は飾りで、本体は大深度地下にあるということですか?」
真田幸村は信長の背中に導かれながら地下への階段を下りて行った。
「そうじゃ。まあ、それも使うことはなかったが、ここに来て役に立ったという訳じゃな」
信長は陽気に笑った。
地下への階段に声が反響してよく通った。
「さて、ここが格納庫の入り口になる」
信長は階段の先の扉を開けた。
手で触れるだけで横にスライドする。
「これは!」
幸村は思わず声を上げた。
そこには少なくとも1000機を越える人型機動兵器が並んでいた。
「天山原発のある福島沖で魔女ベアトリスと艦隊戦した時の機体ばかりじゃ。なかなか壮観じゃろう」
「私もその大戦に参戦したかったです」
幸村は本当に悔しそうに歯軋りした。
「真田、お主の活躍の場も近いうちにできるかもしれぬ」
信長は眉間に皺を寄せて何かに想いを巡らせてるようだった。
「───信長さま、例の人を連れて参りました」
振り返ると、メガネが着物にブーツ姿の男を従えていた。
腰には刀と脇差しを差していた。
「お初にお目にかかります。坂本龍馬と申します」
「…………坂本龍馬って誰だっけ?」
「信長さま! そんなところでボケないでください」
メガネは呆れ返ってツッコミを入れる。
「ギャグの練習ですよね。信長さま」
現代風のポロシャツ、Gパン姿だが、その真摯な眼差しは天海、明智光秀のものだった。
「役者が揃ったところでちょっとお茶の時間にするか」
織田信長は莞爾と笑った。