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エンディング

                  エンディング

「……よいしょっと、こんなもんだっぺか?」

「ええ、上出来です、ティッペ……」

 ティッペの問いに金髪の女神が頷く。その視線の先には地面に書かれた魔法陣がある。俺たち11人はその陣の中心あたりに立っている。11人……そう、桜もいる。

「しかし、女神さまが桜から離れるとはな……」

「ええ、私も驚いているわ……」

「サクラのスキルのお陰で、この世界に戻る手がかりを得ることが出来たのです」

 女神がウインクする。桜が問う。

「そ、そういうものなのですか……?」

「そういうものなのです、恐らく……」

「お、恐らく?」

「さあ、そろそろあなた方を元の世界に戻しますよ……」

 女神が両手を掲げる。俺が思わず尋ねる。

「そ、そういうことが出来るのですか?」

「出来ます、多分……」

「た、多分って⁉」

「お静かに……集中したいので……」

「も、元の世界に戻れる……」

「なんだかんだでホッとするわね、橙々木さん……」

 天に対し、鶯さんが優しく微笑む。

「あ~でも、スキルが使えなくなるのは、ちょっともったいないかな~」

「ロビン……使わずに済むならそれに越したことはないでしょ……」

 ロビンさんに対し、瑠璃さんが呆れる。姫ちゃんが海に声をかける。

「先生……異世界で一本アニメ企画を立てたいのだけど、原案とか頼めないかしらなの?」

「ああ、良いですね、これ以上ないくらい取材は出来ましたから……」

「2人とも商魂たくましいねえ……」

 監督が感心する。女神が口を開く。

「そろそろです、皆さん、離れ離れにならぬよう、近くの方と手を繋いで……」

「ああ、それなら、拙者は栄光さまと……⁉」

「青輪ちゃん、ここは空気を読もうか……」

 なにやら声を上げる青輪さんに対し、静がなにやら声をかけている。

「め、女神さま⁉」

「……なんですか?」

 俺の問いに女神が首を傾げる

「他のチートスキル持ちの転移者たちなのですが……俺たちなしで彼らを御せますか?」

「ああ、そういえばいましたね……あなた方と違ってお行儀の悪い転移者さんたち……」

「そ、そういえばって……」

「まあ、わたくしの力も元に戻りつつありますし、なんとかなるんじゃないですか?」

「て、適当過ぎませんか?」

「仮に御せなかったとしたら……“彼ら”の出番です」

「彼ら?」

「わたくしが戻れたのだから、彼らも復活出来ますよ、『虹色の英雄』たち……」

「! ほ、本当ですか⁉」

「いや、分かんないですけど」

「わ、分からないって……」

「まあ、あなた方はあなた方の為すべきことをして下さい……」

「スグル~! 寂しいっぺ~! いつでも会いに来てくれて良いんだっぺよ?」

「……女神さま、お願いします」

「む、無視⁉ ひ、ひどいっぺ⁉ うおっ……眩しっ⁉」

 ティッペが騒ぐ声を耳にしながら、俺たちは光に包まれていく。

                  ♢

「~♪」

「ありがとうございました……改めまして、本日は新作アニメ『レインボーガーデンズチルドレン』の制作発表会にお越し頂きありがとうございます。まずは、サプライズとして、今作の主題歌をはじめ、音楽制作を担当する『ラヴィ』の皆さんによるパフォーマンスをご覧頂きました。それでは、その他の出席者の方々にもご登場頂きましょう……まずはメインキャストを務める声優陣の方々……皆様、どうぞ……」

「おおっ⁉ 栄光さまがあの豪華キャストの中心に! 推してきて良かっ……ぶはっ⁉」

「騒ぐな青輪ちゃん……! オレがこの手の仕事出禁になるだろうが⁉ 関係者とか言って連れてきたの間違いだったか……? 暴れんな、橙々木さん、抑えんの手伝ってくれ」

「は、はい……」

「ん? なにか……し、失礼しました。続きまして、本作の担当プロデューサー赤目姫さん、監督の黄恵秋さんにもご登場頂きます。さらにサプライズとして、本作の原案を務められた藍ノ浜海先生にもご登場頂きます。お三方どうぞ……って、せ、先生、その紙袋は……?」

「……やっぱり顔出しはNGで……紙袋を被って失礼します。シャイなものでご容赦を」

「そ、そうですか……で、ではまず、この作品のダブル主人公を務めます、御桃田桜さんと栄光優さんにお話し頂こうと思います。まず、御桃田さん、今作への意気込みは?」

「はい、気合い充分です!」

「ありがとうございます。栄光さん、今作では大抜擢となりますが……どうでしょうか?」

「……問題ないです、英雄は経験済みなので……皆さんの不安を吹っ飛ばしてみせます!」

                  ~第一幕完~

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