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「早坂さん、わたしの事、どう思ってますか?」
「ん?突然どうしたの?」
「前から聞いてみたかったんです」
早坂さんはニコッと微笑んだ。「可愛くてしょうがないわ」
「・・・それだけですか?」
「それだけって?」
「いや、その・・・可愛い以外の感情はないのかなって」
「可愛い以外に何かあるの?」
「え?」
「小さな子供を見ると可愛くてかまいたくなるでしょ?それと同じよ」
「・・・とゆーことは、ただ単に可愛いって感情しかないって事ですか・・・」
「それ以外にどんな感情があるっていうの?っていうか、大丈夫?なんだか様子が変よ?」
「・・・いえ、なんでもないです」
目の前の景色が段々暗くなっていく。
早坂さんの顔が見えなくなり──次に見えたのは──・・・・・・空舞さん?
「ギャ───ッ!!」
「・・・だから、突然大きな声を出さないでって言ってるでしょう」
勢いよく起き上がったせいで、目眩がした。
「え・・・どうやって中に?鍵は・・・」
「また空いてたわよ。本当に不用心ね。それより大丈夫?うなされてたから起こそうと思ったんだけど」
「ああ、だから枕元に居たんですね」
「悪い夢でも見てたの?」
「・・・悪い、夢・・・そうですね・・・あれ?夢だよね・・・」
寝起きで頭が働かない。昨日、早坂さんに送ってもらって、そのまますぐ寝て──そうだ、あんな会話はしていない。だから、夢だ。
安堵でへなへなとベッドに倒れた。
「大丈夫?」
「大丈夫です・・・たぶん」夢とは言え、精神的ダメージは大きい。
「どんな夢を見たの?」
人間は愚かね。言ったら、空舞さんから返ってくる言葉はそんなとこだろう。恥ずかしくて口が裂けても言えないが。
「なんていうか、非常に怖い事を言われて・・・」
「怖い事?殺すとか?」
「コロッ!?・・・まあ、そんなようなもんです」まだ、そっちのほうがマシな気がする。「ところで空舞さん、元気でしたか?」
空舞さんは首をクイっと傾げた。「数日前に会ったばかりじゃない。寝ぼけてるの?」