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「・・・なんて?」
春香は顎の下で両手をグーにした。「早坂しゃ〜ん、わたしのこと、どう思ってましゅか〜?って」
「・・・答える前に病院に連れて行かれそうだわ」
「気になるなら本人に聞くしかないわよ」
「・・・本人に、ねえ」それが聞けたら、苦労はしないんだが。
「ま、天然記念物には無理だろうけど。行動起こさないと何も始まらないわよ。それでもいいなら、いつまでもウジウジしてなさい」
今日は一段と風当たりが強い気がするが、聞いてもらった感謝と今日のストレスを考慮して、反論するのはやめておいた。
その日の夜、早坂さんからメールが入っていた。
次のわたしの休みに家に遊びに来ないかというお誘いだった。そういえば前に、またご飯を食べに来いって言われてたっけ。
酔っ払った勢いに任せてメールで聞いてみようと思ったが、実行に移すほど酔ってはいなかった。
よろしくお願いします。とだけ返す。
ベッドに横になり目を閉じると、早坂さんの顔が浮かんだ。笑っている顔、真面目な顔、わたしを叱る時の顔。
わたし、好きなんだな──。
思えば、これが初恋になるのか。24の女が言う事じゃないよなと、自分で笑えてくる。
早坂 遊里。あなたには、わたしがどう映ってますか?
それがわかるなら、全財産叩いて文無しになっても構わない。
あ、叩くくらいのお金なかったんだ。そんな事を思いながら、意識が遠のいていった。