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第102話 フォローは忘れずに

 その様子を見送りながら嵯峨はひじを机の上についてその上に顔を乗せてランを見つめる。

「『中佐殿』。黙りこくってないでちったあ、フォローしてやれよ。一応、お前さんの直下の部下だろ?機動部隊の隊長はお前さんってことになってるんだから」 

 ランは頭を掻きながら嵯峨を正面からにらみつけた。

「確かにさ……アイツは気が小さくて自分の力に気づいてないけどでもそこを何とかするのが上司って奴じゃないの?」

 嵯峨は目の前の書類をいじりながらそうつぶやく。しかし、ランは黙って嵯峨を見つめているだけだった。

「分かるよ……典型的な問題児ならパイロット候補生をぶっ叩いて育ててきたお前さんの領分だから……人物的には優等生の神前は扱いづらいってところなんだろ?でもさ、組織じゃん、うち。そんな人材のえり好みは言ってられないの。それに俺達の『敵』を倒すにゃどうしたって神前の力が必要になるんだ……」

 沈黙を続ける幼女に、嵯峨は諦めたように視線を落とした。

「俺の負けだよ。そうだな、起きちゃったことはどうにもならねえが、問題はこれからのフォローだな。機動部隊隊長さんには苦労かけるが、よろしく頼むよ。神前の性格からして俺の決定への不満と自分の置かれた立場の危険性に気づいて辞めるとか言い出しかねないぞ。そこを何とかするのが上司であるお前さんの仕事だ」

「しゃーねーなー……了解しました!」

 手で謝罪の意図を表明している嵯峨の言葉を背に、ランはめんどくさそうに頭を掻きながら部隊長室を後にした。


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