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真面目に考えた

「お前との結婚を真面目に考えて、お前の名前を検索してみたんだ」
「なに? 素行調査ってやつ、悪趣味ね」
「お前が俺に隠してることあるんじゃないかって思ってね」
「それで、私のことを調べてみて、別に変わったことなかったでしょ」
「あ、ああ・・・、何もなかった、無さすぎたんだよ」
「は、いいことじゃない、ネットに名前があるってのは、大抵悪いことでしょ?」
「けど、お前が出身校だと言ってた学校にお前のことを知っている奴が誰もいないのは、なぜなんだ」
「同級生にまで聞いて回ったの?」
「たまたま、バイト先の後輩にお前と同じ学校の奴がいたんだよ、俺とお前、年が近いだろ、元々友達を通じて知り合ったんだし、お前の出身校の知り合いがいてもおかしくないだろ、それで、学生時代のお前のことを聞いてみたら、お前なんか知らないって、ポカンとしてたぜ」
「私、地味で目立たなかったから」
「地味で目立たなくても卒業アルバムぐらいには、載ってるはずだろ」
「そこまで調べたの?」
「で、考えた、お前が俺に話してた名前や学歴は全部嘘じゃないかって。偽名を使ってまで隠したい過去があるんじゃないかって」
「まるで、私が過去を隠して逃亡中の犯罪者みたいな言い方ね」
「じゃないのか」
「そこまで気づかれたのなら、逃亡者としては、あなたを生かしておくと思う?」
「俺を殺すのか?」
「だって、私、捕まりたくないもの」

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