第四十三話 「八百八狸 対 千尾狐 弐」
「おぉぉぉぉ!!!!」
ガキィィィン!!!
「おらァァァ!!」
バゴォン!! しゃらくに殴り、蹴り飛ばされた狐達が吹き飛ぶ。しかし狐達が
「しつけェなこの野郎!」
すると、向かって来た狐の一人が頭に葉を乗せ、巨大な熊に変化する。
「何ィ!!?」
熊に変化した狐が、しゃらくに
「くっ・・・!!」
「グオォォォ!!」
しゃらくの
「ゔっ・・・!!」
背中を鋭い爪で引っ
「ハハハ! いくら強かろうと
すると、しゃらくがニヤリと不敵に笑う。
「誰に言ってんだァ?」
そう言うと、しゃらくの顔や体に赤い模様が浮かび上がり、抱き抱えた熊の巨体を持ち上げる。熊が慌てて脚をバタバタと振る。それでもしゃらくは後方へ体を反らし、熊の脚はどんどんと地面から離れていく。
「おらァァァ!!!」
ドオォォン!!! 持ち上げられた熊は、そのまま勢いよく頭から地面に叩きつけられ、白目を
「久しぶりだぜ。熊との相撲はァ」
危機感を覚えた周囲の狐達は、それぞれ猛獣に
「ガルルル! かかって来い!」
一方ウンケイの方も、虎や狼に変化した狐達に囲まれている。
「おいおい
「くそっ! 数が多い」
すると一頭の狼が、
「うっ・・・!!」
ウンケイは腕をブンブンと振るが、狼はこの腕噛みちぎらんとばかりに、食らいついている。その間も他の猛獣達がウンケイに襲いかかるが、ウンケイはもう片方の手に握った薙刀を振り、猛獣達を払っている。しかし猛獣達はすぐに立ち上がっている。
「・・・
するとウンケイが、片腕を狼に噛ませたまま、両腕で薙刀を持ち、頭上でくるくると回し出す。その風圧により、周囲の猛獣達は動けない。
「
ブゥオォォン!!! 回転の遠心力を利用し、ウンケイが薙刀を振る。それを受けた猛獣達はたちまち吹き飛んでいく。一部始終をウンケイの腕で目の当たりにした狼が、目を丸くしている。するとウンケイが腕を持ち上げ、狼をギロリと睨む。
「・・・!!」
すると狼はウンケイの腕から離れ、ボン! と体が煙に包まれる。
「ん?」
ウンケイが薙刀を向ける先、煙の中から出て来たのは一匹の子狐で、目に涙を一杯に浮かべ、舌をダラリと出し、
「なんだお前ガキじゃねぇか」
そう言うとウンケイは薙刀を下ろし、踵を返して背を向ける。
「ガキが戦なんかに首突っ込むな。さっさと帰れ」
ウンケイが背を向けたままそう言うと、その場を去る。
「・・・!?」
すると子狐は、ウンケイの背中をキラキラとした目で見つめる。
「・・・アニキ」
そう
千尾狐の本陣にて、戦況を見つめる
「俺達もそろそろ行くかぁ」
幹部の
「フフ。そうだな。では梶ノ葉、イナリ、コックリ、
「はっ!」
六人が一斉に返事をすると、梶ノ葉、イナリ、コックリ、八尾の四人が戦の中へ駆けて行く。
「フフフ。とくと暴れて来い」
白尚坊がニヤリと笑う。
激しい戦いが行われる中、千尾狐達を一人で次々と薙ぎ倒している
「竹蔵ぉ〜。派手に暴れやがってぇ」
梶ノ葉がニタァッと笑う。すると竹蔵の方も梶ノ葉を見て、ニッと笑う。
「やっと来たか梶ノ葉。
「ギャハハ! お前こそ逃げるなよぉ!」
ガンッ!! 目にも止まらぬ速さで、竹蔵と梶ノ葉がぶつかり合う。激しくぶつかる両者は、互いにニヤリと笑っている。
一方、狐達を薙ぎ倒しながら戦場を駆けるウンケイと、その後を付いて行く子狐。
「おい! いい加減どっか行きやがれ!」
ウンケイが狐達を倒しながら、子狐に
「アニキアニキ! おいらは“コン
コン吉と名乗る子狐が、キラキラとした瞳でウンケイの
「は!? 何言ってんだてめぇ」
「ダレ? 何シテルノ?」
すると、ウンケイとコン吉の背後で声がする。振り返ると、千尾狐の幹部の一人、コックリがコン吉を見つめている。
「また、いつの間に・・・」
ウンケイの
一方の竹伐り兄弟の次男、
「・・・」
「・・・」
互いに無口な二人は、静かながら激しく睨み合う。
「よう。チビ人間」
しゃらくの前に、幹部のイナリがニヤニヤと笑って近寄る。
「よォ、ヒョロヒョロ。彼女はどうした?」
しゃらくもニヤッと笑う。
「お前らみたいな
「じゃア守って
「何だとこらぁ!」
イナリが
完