第三話🔖贈り物と返事
幸政さん達と知り合ってから三ヶ月経ち
季節はクリスマスシーズンになった。
そして僕は今、
二人に贈るプレゼントに悩んでいた。
すっかり仲良くなった僕達は
三人で食事をすることが
多くなり、時にはみんなで
料理をするなんてとこも。
佳樹や専門の友人達には
今も秘密のままだ。
噂されるも騒がれるのも嫌だけど
何より幸政さん達に
迷惑がかかるのが一番嫌だ。
だから、幸政さんん家に行く時も
細心の注意を払っている。
実際の幸政さんが“ゲイ”で
僕を好きでいてくれたとしても
スキャンダルは避けなきゃならない。
茉希さんも細心の注意を払って
僕のお迎えに来てくれる。
そんな二人にあげる
初めてのクリスマスプレゼントは
特別な物にしたい。
感謝の気持ちを物で
伝えるというのは難しいなぁ。
それから、告白の返事もしなきゃね。
クリスマスの一週間前、茉希さんからメールが来た。
「⦅クリスマスの予定はお決まりでしょうか?
まだでしたら三人で食事などいかがでしょうか⦆」と。
勿論、僕に予定はなかったから二つ返事で返した。
それに、プレゼントはやっぱり当日に渡したいしね。
𖧷 ⁺.一週間後 𖧷 ⁺.
「晴哉君」
待ち合わせ場所に行くと
茉希さんは先に来ていた。
年上を待たせるとか……
『茉希さん、すみません(焦/汗)』
クリスマスにファンやマスコミに見つかるのは
避けたいし、三人で
のんびりできなくなるから
幸政さんには家で
料理を作ってもらっている。
僕がシートベルトをしたのを確認してから茉希さんは車を発進させた。
『「ただいまです」』
いつの間にか“お邪魔します”じゃなくて“ただいま”
と言うようになっていた。
その
茉希さんは基本的には
そういった類いの言葉を言わない。
勝手知ったる他人の家
とばかりに普通に入っていく。
『お帰り』
何時もシンプルですっきりしている
幸政さんの部屋がクリスマスだから
色々、飾り付けをしてあって
なんだか不思議の気持ちになり
“『お帰り』”といわれた時に
心に暖かいものが灯った気がした。
二人へのプレゼントは
幸政さんには꒰ 腕時計꒱を。
茉希さんには꒰ タオル꒱をプレゼントした。
『晴哉、意味わかってて
これをくれたのか?』
幸政さんの質問に僕はクスッと笑った。
꒰腕時計꒱をプレゼントする意味は
“一緒に同じ時を歩んでいきましょう”。
または“離れていても一緒”。
このプレゼントは僕なりの
三ヶ月前の告白への返事だ。
『勿論です♪』
きっと、これから大変だと思う。
人気俳優と一般人。
しかも、同性同士。
茉希さんみたいな
“同類”ばかりじゃないし
どっちかと言えば
“嫌悪感”を抱いてる人の方が多い。
だけど、僕達ならきっと大丈夫。