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第一話🔖目が覚めたらそこは人気俳優の家でした。

目が覚めたら知らない部屋にいた。

ベッドのサイズは多分、ダブル。

そして、そんな大きなベッドを置ける
部屋なら当然、広い。

此処はいったい……

『よう、目が覚めたか?』

え……

声のする方を向くとそこにいたのは
人気俳優の新條幸政。

ってことは此処は新條幸政の家!?

何で? どうしてこうなったんだ?

僕は友人の佳樹と
居酒屋で飲んでたはずなのに。

『まぁ、これでも飲んで落ち着け』

そう言って新條さんは
ペットボトルの水を渡してくれた。

『ありがとうございます』

色々と疑問に思いつつも喉の渇きを
満たすのが先だ。

『元気そうでよかったよ』

新條さんの言葉でなんとなく
昨日のことを思い出した。

佳樹と佳樹の友人と三人で
飲んでる所にたまたま新條さんが来て
ちょっとした騒ぎになったんだよな。

人気俳優が一般人が行くような
居酒屋に来れば
そりゃぁ、騒ぎにもなる。

店長なんて新條さんが入ってきた時
硬直してたもんな(苦笑)

『あの、俺の他に
二人いたと思うんですけど』

『茶髪の彼は黒髪の彼が
タクシー呼んで連れ帰ってったよ』

そういえば、佳樹の友人は
まったく酔ってなかったな。

『そうだったんですね、
教えていだきありがとうございます』

佳樹は大丈夫だとわかったけど
僕は何で新條さん家に!?

『友人のことはわかって
ホッとしたけど、自分は
何で此処にいるんだろうって
思ってるだろう?(クスッ)』

心の中を読まれた……

いや、僕がわかりやすいんだよね(苦笑)

『はい……』

『取り繕うのは嫌だから
はっきり言うと、君が
俺の好みのタイプだったから連れて来た。

ちょっと待った!!

新條さんの言葉が本当なら
彼は“そっち”側ということだ。

僕も“ノーマル”なわけじゃないから
嫌悪感はないけど、新條さんみたいな人が
僕みたいなどこにでもいるような
“普通”の二十歳の男のどこが
いいのか判らないなぁ。

『僕のどこが?』

『“どこ”と訊かれると
答えようがないなぁ(苦笑)

一目惚れだったから』

仮に新條さんが“そっち”側
だったとしても引く手あまただろうに
何でよりによって“僕”?

普通に会話してたけど
新條さんのベッドを占領したままだ!!

『新條さん、すみません!!

それから、介抱して頂き
ありがとうございました』

お礼と謝罪は何においても
忘れてはいけないというのが
鹿波家の家訓だ。

『俺が勝手に連れてきて
勝手に介抱しただけだから
気にしなくていい。

それよりは、肝心なことを
訊き忘れてたな、名前教えてくれ』

今日というか昨日から
考えて色々、ありえない……

『名乗りもせず失礼しました。

鹿波晴哉と申します。

専門三年の二十歳です』

『だから、謝んなくていいって。

俺のことは知ってるだろうが
改めて、新條幸政・職業は俳優で
今年、三二歳だ。

よろしくな』

テレビで見るよりも格好いい。

『はい、よろしくお願いします』

誰も知らない“プライベート”な新條さんを知りたいと思った。

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