1:20 A.M.
僕と妖風は近くの自販機にたどり着いた。
「流石にあったかいやつがいいわよね」
「まぁそうだね」
「うーん……」
妖風は小銭を入れてからじっと自販機を見つめた。
「無難にコンポタがいいんじゃない?」
「おいしくなかったらキレるけどそれでほんとにいい? ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー」
妖風は答えながらコーンポタージュのボタンを押した。
「おぉ……。やっぱこの時期のコンポタはいいわね。手があったまる。はい、どうぞ」
「ありがとう」
妖風からコンポタを受け取った僕は、さっそくプルタブを引いて口をつけた。
「ちょっと、そんな急に飲んだら火傷するわよ」
「あっつ!? あちあち、あちち」
僕は舌を出して夜の冷気で冷まそうとした。
妖風はそんな僕を見て笑った。
「ほら言わんこっちゃない。バカね~」
「はぁーびっくりした。……もうちょっと早く忠告してよ」
「あんたがそんな暇もなく飲み始めたのが悪いんでしょ。アタシのせいじゃないもん」
「妖風はなにも買わなくていいの?」
「んー。別に」
「そっか。ひと口いる?」
僕は妖風にコンポタを差し出した。
「いらないわよ」
妖風は突っぱねた。
「あ、そういえば妖風って間接キスとか気にしちゃうようなウブな子だってけいが言ってたっけ。なんか意外だよねー」
僕がそう言うと、妖風は顔を真っ赤にして怒りだした。
「あの野郎喋ったな!? 秘密にしてって言ったのに!」
「ははは。おもろ」
「なに笑ってんのよ」
「ごめんごめん」
そんな会話をしながら僕たちは狐酔酒たちの元へ戻った。