第3話
そこは薄暗い部屋であった。カーテンは閉じられており、照明も消されていた。ただ、部屋の壁際に置かれているテレビはつけられていて、そのまばゆい明かりが部屋の内部をほのかに照らし、流れてくる音声が虚しく響いていた。
時間はわからない。朝なのか昼なのか、夕方なのか真夜中なのか、判然としなかった。
テレビから声が聞こえていた。どうやらニュース番組であるようだ。キャスターの男性が散文的にニュース原稿を読み上げていた。
今日の朝十時頃、殺人事件が発生しました。被害者は二十代男性、現場は──。
テレビの電源が落とされた。
部屋は光一つない闇の帳が下ろされ、物音一つない静寂が支配した。その静寂を破ったのは、若い少年の笑い声であった。この世のものとは思えないような低く、狂ったような、気が違ったような、気がふれたような嘲笑であった。
やがて笑い声はおさまり、およそ人のものとは思えないような声で、言葉が発せられた。
ザ・マ・ア・ミ・ロ。